2009年12月 巻頭言

                                                御津医師会会長 菅波 茂
2008年8月のリーマンショック以後、日本を含めた世界の経済と社会は大混乱に突入している。どの方向に進むべきか。政治の季節である。価値観は平時の「権威」から乱世の「信頼」へと急転回した。2010年末から2011年にかけて米国発世界恐慌が更なる追い撃ちをかける。この混乱は少なくとも10年は続く。60年間にわたり自民党を支持した日本医師会が民主党から報復処置を受けて、地区医師会−都道府県医師−日本医師会と昇る権威が崩壊寸前である。
2009年11月21日(土)に岡山県郡市地区医師会長会議が開催された。自民党と民主党の狭間で医師会は如何なる立場を取るべきか。活発な議論があったが、結論は先延ばしとなった。私は提案した。「政治に参加すれども、政争に巻き込まれない」ことを命題とすべしと。具体的に下記の3点を挙げた。「第一に医師会と医師連盟の長を兼ねてはいけない。第二に自らの議員を選挙に出してはいけない。第三は医師連盟が、国民あるいは患者のために、政党の医療政策を評価する格付け団体となるべきである」と。
権威が崩壊する中で、如何に信頼を確立するのか。誰ができるのか。地域住民あるいは患者と直接向き合っている全国900の地区医師会にしか不可能である。医師免許とは「命を助けろ、救え、そして見放すな」である。その医師免許を有する医師の集合体が地区医師会である。地区医師会にとって、一番の問題は不況により地域住民あるいは患者の生活と命の差が縮まってきていることである。
地区医師会には3つの面がある。一つは会員の生存のためのギルド団体である。二つは学術団体である。三つは地域住民の命を守る団体である。地域住民の命を守るためには会員の生存を強化するのが最良の策である。会員同士の信頼なきところに、地域住民との信頼関係が確立できるはずがない。会員の団結こそが会員同士の信頼醸成となる。御津医師会「地域医療を守る」相互扶助プログラムを乱世における指針としていただければ幸いである。

投稿日時: 2009-12-01 14:52:50 (1321 ヒット)


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