2026年3月 巻頭言
巻頭言
「ひょっとして、大森?」から始まった一年
御津医師会理事 大森 信彦
昨年二月、父が九十二歳で亡くなりました。大往生とはいえ、親を送るというのは、いくつになっても胸に応えるものです。主治医として看取ることができ、責任を果たせたとほっとしたと同時に、人生の区切りを実感し、「これから自分はどう生きるのか」などと、少し殊勝なことを考えておりました。
ところが人生、湿っぽいままでは終わらせてくれません。転機は思いがけず Facebook から訪れました。名前も顔もよく覚えている——けれど卒業以来、どこで何をしているのか全く知らなかった高校時代の同級生から、突然メッセージが届いたのです。「ひょっとして、大森?」。その短い一言が、止まっていた時間を一気に動かしました。
そこからが早い。連絡は連絡を呼び、気がつけば同級生ネットワークが大復活。「あいつは今どこで何を」「あの先生、まだ元気か」と、記憶のカルテが次々と開示されていきました。そんな中、昨年末には母校ラグビー部が埼玉県代表として花園初出場という大朗報。12月27日、人生初のラグビー応援に、全国に散らばっていた同級生たちと、お揃いの校章入りマフラーを首に巻いて勇んで出かけました。ルールは曖昧、声援は過剰。寒空の下、気分だけは完全に現役高校生でした。その甲斐あってか、思いもかけず、初戦のみならず2回戦も突破し、同級生で作ったグループLINEは、着信音が鳴りやまないほどの大はしゃぎ状態で新年を迎えたのです。どんな大きな敵にも臆せず前に突き進む姿で、私たちに熱い感動を与えてくれた後輩たちに、心から感謝!!
さらに今年1月には大学弓道部の創立七十周年。久々に先輩、同期、後輩が一堂に会しました。弓を引く代わりに引いたのは昔話と健康の話。的中率だけは、現役時代よりはるかに高かったように思います。先輩はいつまでも先輩。後輩はいつまでもかわいい後輩。肝胆相照らした同期。幸せなひと時でした。
還暦を過ぎて、これほど立て続けに青春時代の友と再会し、元気をもらうとは思ってもみませんでした。人とのつながりは、年齢を重ねてからこそ、より深く、ありがたいものになるのかもしれません。
私たち医師もまた、日々人と向き合い、支え合う仕事をしています。忙しさの中で忘れがちな「つながりの力」、「マンネリでなく、しがらみなく素で付き合える仲間たち」を、改めて大切にしたいと感じる一年でした。
さて、今年はどんな「ビックリ」が待っているのでしょうか。次は応援か、同窓会か、それとも思わぬ健診結果か——いずれにせよ、楽しみにしておこうと思います。
投稿日時: 2026-03-11 15:47:12 (9 ヒット)








