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2023年10月 巻頭言

巻頭言

「地域を愛すること」

          御津医師会理事  堀内 武志

 「人々はローマが偉大であるからローマを愛したのではない。人々がローマを愛したからローマは偉大となったのだ」は、ギルバート・キース・チェスタトン(AD1874〜1936年、英国作家)の有名な言葉です。そこに住む人々が、自分の地域を愛することによって、子孫は残り、人が集まり、地域は発展・繁栄していきます。これは、町おこしにとって重要不可欠な考え方です。そして、「地域を愛する」とは、地域の自然、歴史、産業、住民を尊び、地域の素晴らしさを発見していくことです。

 福渡病院は岡山市最北にある病院です。岡山市北区建部町と、隣接する久米南町の約15匯擁に広がる地域を主な診療エリアとしています。平成19年(2007年)に、北区建部町(旧御津郡建部町)は岡山市に吸収合併されていますが、それ以前は、地理的・歴史的に結びつきの強い久米南町との合併も検討されていました。地域の人口は約10,000人ですが、医療機関は、福渡病院と、建部町に3件および久米南町の2件の診療所しかありません。
 この地域は古くから開けており、建部は、「たけるべ(武部)」という景行天皇(4世紀ごろ)の古墳時代の軍事的部民がルーツとも言われます。農業と林業、誕生寺川と旭川の水運業が盛んでした。そして岡山と津山、落合とを結ぶ中継地でした。誕生寺や豊楽寺、仏教寺、志呂神社といった由緒ある寺社や、古城の跡(旧建部町:9城、久米南町:6城)などもあります。知られていませんが、久米南町は昭和30年代まで銅の産出地で、吹屋鉱山(高梁市)、帯江鉱山(倉敷市)に次いで岡山県第3位だった竜山銅山の遺構があります。農業が盛んだった弓削には、江戸時代に茨城県の旧古河藩の飛領地がありました。他にも、紹介し切れないほどの歴史と自然、人の営みが、この地域にあります。

 「地域を愛すること」は、地域おこしの基本ですが、同時に地域医療の原点です。地域とその歴史に敬意を払い、地域に生きる人を愛し、地域医療を行っていくことが大切です。そしてその活動が広がり、貢献が認められていくことで「地域に愛される医療機関」に成熟していきます。福渡病院も、地域を愛する医療機関であり続けたいと切に願っています。
 

投稿日時: 2023-10-04 14:04:47 (69 ヒット)

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