トップ  >  巻頭言  >  20代会長 難波経豊先生  >  2022年 9月 巻頭言

2022年 9月 巻頭言

巻頭言

なかったように振る舞うこと

医療法人 山中医院    宗盛 真

 前回、2020年9月に巻頭言を担当し、今回はさらなる危機:新型コロナウイルス感染パンデミック拡大、戦争(ロシアによるウクライナ侵略)、安倍晋三元総理大臣銃撃などさらなる災厄下に担当となりました。
 この巻頭言作成時の世界保健機関が公表した新型コロナウイルス感染状況に関する週次報告によりますと7月18〜24日の1週間の新規感染者数は、日本が前週比73%増、約96万9000人で世界最多(海外では政策で検査数の減少はありますが)の報告がされました。また、7月28日の1日では23万3094人で上昇傾向は持続しており、戦争もあり医療、日常生活、世界経済、エネルギーなどにも大きな影響が出ています。
 私は、広島で誕生し義務教育を受け、夏になると原爆や第二次世界大戦についての授業や夏休みの宿題をしたことを思い出します。私の出身高等学校の生徒と職員の戦没者並びに原爆死没者352人の名を刻んだ慰霊碑と追悼歌碑が平和公園内に建てられており、当時、同級生と担任の先生で歩いて行き拝礼しました。平成11年の追跡調査では306人の被爆死が確認されています。あまり語らなかった父も学徒動員で爆心地から約2kmの工場で被爆、私は二世となります。
 NHKの原爆に対する電話での20歳以上を対象とした2015年の意識調査を示します。
(広島市1,130人、長崎市1,005人、全国11,24人)
・原爆を話題にする頻度

 

広島市

長崎市

全国

よくある、時々ある

31.5%

34.9%

21.8%

・原爆の日付の正解率

 

広島市

長崎市

全国

広島 8月6日

68.6%

50.2%

29.5%

長崎 8月9日

54.2%

59.2%

25.6%

アメリカが広島、長崎に原爆を落としたことについて

 

広島市

長崎市

全国

今でも許せない

43.1%

45.7%

48.8%

やむを得なかった

44.2%

40.8%

39.6%

アメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査結果(2015年)
・原爆投下について

 

日本人

アメリカ人

正当化できる

14%

56%

正当化できない

79%

34%

・アメリカでの原爆投下の性差、年齢、支持政党別での正当性について
男 62% 女 50%、18〜29歳 47% 65歳以上 70%、共和党 74% 民主党 52%
皆様はどのように感じ、評価され今後についてお考えになるでしょうか。
 斎藤幸平氏や立花隆氏の著書よりお言葉を拝借しますが、今までの私たちは、安定していた時代に生きていたように感じていました。多くの人は危機が近づいていることには気づいています。しかし破局が近いのを知っていながら悪夢から逃れるために近々で身近で安価な生活の中で自らをしびれさせ、なかったように振る舞い変革に向けて動こうとしていませんでした。一部の富の集中のため、他方向に多くの犠牲を作り出しました。近々でも災厄を自ら経験した我々は、歴史を直視し、形態の変革に動かなければ、次世代に継続することができないと考えています。なかったように振る舞っても、なかったことにならないのです。
 

投稿日時: 2022-08-31 14:56:18 (226 ヒット)

印刷用ページ このニュースを友達に送る

これまでの巻頭言




TOPへ

サイトマップ