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2021年6月 巻頭言

巻頭言

 

御津医師会副会長 山下 浩一

 

 コロナワクチンの接種がやっと始まりました。
 私(山下浩一)も昨日(5月12日)に岡山中央病院で接種しました。今日は少し肩が痛いです。(後で揉まなかったためでしょうか?)
 本日TVのニュースで変異株にワクチンが有効か研究が紹介されました。8種ぐらいの変異株に1回目で15〜55%、2回目で90〜99%の増殖阻止抗体ができているようです。やはり2回は必要なようです。岡山もすべてのモニタリング項目がレベル4を超え「緊急事態宣言」が発動されます。5月17日からは65歳以上の接種が各医療機関で開始します。かかりつけ患者様を守ることが開業医の一番の義務と考え予約を受けています。ワクチンが無駄にならないようにキャンセル待ちのリストも必要でしょう。アメリカでは独立記念日(7月4日)以降はマスクも不要になります。日本も追いつきたいものです。
 NHKにヒューマニエンスという科学番組があります。見るとなるほどと納得することが多くあります。
 発生は生命進化の繰り返しです。受精卵が桑未胚を過ぎ、最初にできるのが中央の凹みです。これは腸の誕生です。多細胞生物ができた時、最初の生物は腸だけだったようです。現存でもヒドラは腸だけで心臓も血管も脳もありません。でも食事をし子孫を残します。次にできるのは心臓です。ある程度細胞数が増えると、酸素・栄養の循環のために心臓と血管系が必要になります。背中には管構造ができ神経細胞が周囲から入り込み脊髄が形成されます。これらの細胞は腸周囲の太陽神経叢の細胞でセロトニン(腸では蠕動運動を起こす)アセチルコリン(平滑筋収縮を起こす)ノルアドレナリン等が使用されており、その後脳内では別の作用で利用されています。
 学生のころから交感神経は脳→脊髄→末梢神経と伝達されるのに副交感神経は第8脳神経から出る1本の神経で、横隔膜を通り太陽神経叢に行くのが不思議でしたが、実は腸や心臓が先にできて脳に副交感神経で刺激伝達を行っているんだとわかりました。実際神経伝達の80%は心臓→脳に伝わるそうです。脳が興奮して心拍が上昇すると心神から脳にもっと落ち着けと伝えるイメージでしょうか。
 腸が実は第1の脳で、脳は第2の脳になるようです。皮膚は第0の脳と紹介されました。多種多様な圧力・温冷感覚の神経を持ち外界の全ての情報を脳に伝え、光覚(視覚)細胞も持っています。(そういえば学生時代、眼胚を皮下に移植するとそこで眼球ができると教わりました。)十二指腸の入り口には味覚の神経細胞があり、腸は味がわかるわけです。そこでだめなら嘔吐したり下痢になるわけですね。その他指の話、性分化の話、思春期の話、癌の話、ウイルスの話、死は生命最大の発明の話などなど、とてもユニークな最新情報が紹介されています。
 人間の脳はとても巨大な為、幼年期は脳を育てる(大きくする)為にあり、10歳頃から思春期が始まり身体が発達し始めます。脳神経のミエリン化がまだ発達途中の為、好奇心・冒険心が強く新しい発見や思い付きのほとんどが20代までに行われます。ミエリン化が進むと神経伝達速度が速くなり多くの仕事をこなせるようになり(熟練)ます。これが大人になることです。昔(学生時代)の勉強内容が深く詳しくなっているなぁと感じました。
 

投稿日時: 2021-05-31 14:31:47 (279 ヒット)

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