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2020年5月巻頭言

 巻頭言

 
済生会吉備病院  坪井 雅弘
 
 パワハラ防止法(労働施策総合推進法改正)が、2020年6月から施行されます。当院も防止措置を講じて、職員教育も行って来ました。今回この法律で「パワハラ」が初めて法的に規定され、防止措置を企業に義務化し、行政の勧告に従わなかった企業の実名が公表されることになりました。パワハラは、企業のコンプライアンス違反です。
 パワハラには6つのパターンがあります。/搬療な攻撃(暴力で攻撃する)、∪鎖静な攻撃(大声で罵倒したり、陰湿な行為で精神的にダメージを与える)、8瀕させる(仲間外れにする)、げ畩蠅併纏を与える(出来ないような量の仕事を故意に与え、出来ないと叱責する),ゲ畩な仕事をさせる(有能な人に仕事を与えないで干す)、Ε廛薀ぅ戞璽箸覆海箸鮹羹する。の6パターンです。今までに多くの若い人達が、優位性を背景に持った者(地位が上の者や、業務上の知識や実績を持っている者や、集団による抵抗や拒否出来ない行為をする者)によるパワハラで自らの命を絶っています。今後益々生産年齢人口の減少が進む日本において、貴重な若い労働力をパワハラと云う卑怯な手段で失うことは大きな損失であると共に、ご家族の悲しみは如何ばかりか想像を絶するものがあります。今回パワハラのない日本にするために、法律で規制しようと制定されたのが、この法改正です。
 以前読んだ本で、霊長類学者である山極寿一先生の「サル化する人間社会」に、次のような事が書かれていました。人間の人間たるゆえんは「家族」にあり、動物全体を見ても人間のように家族を持つ種はないそうです。ヒト科のゴリラとサルを比べてみると、サル社会は序列社会で個の利益を優先するので、食べ物があっても一番力の強いサルが独占して、力の弱いサルには与えないと云った優劣重視の社会だそうです。近年サルのような人が増えてきており、サル化社会になって来ているそうです。
これに対してゴリラは群れの中で序列を作らないそうです。ゴリラの社会は勝ち負けのない社会で、食べ物があったら仲間に分け与えると云った平等性を持った社会だそうです。人間が祖先に近いゴリラの博愛精神を忘れ、人間らしさを保つために必要な「家族」をないがしろにして、個人主義に走れば平等性を失います。地位が上の者や、お金がある人、仕事ができる人が偉いと錯覚しているような世の中で、パワハラにより多くの有能な若者が排除されている現実を、法律の改正だけで変えようとするのは難しいのではないでしょうか。小さい頃から道徳教育を行い、親や目上の人を敬い、ゴリラのように仲間を愛し助け合うことを教え続けることが大切だと思うのですが・・・・。
 

投稿日時: 2020-04-30 15:04:50 (33 ヒット)


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