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2009年07月 巻頭言

                                                      御津医師会会長 菅波 茂
4月30日、国立病院機構岡山医療センター主催の「地域医療の夕べ」で青山興司院長から衝撃的な発表がありました。御津医師会会員が病気や事故で診療行為ができなくなった時に医師を派遣する用意があるとの内容でした。まさに御津医師会「医療現場を守る」相互扶助プログラムの有事医師派遣制度を強化するものでした。
危機管理としての保険には2種類あります。お金で買える保険とお金で買えない保険です。会員である開業医にとっての最大の危機は病気や事故による医療行為の中止です。借金をどうするのか、職員の生活をどうするのか。最悪の場合には閉院です。従来は大学の医局が担っていた「まさかの時の保障」を誰がしてくれるのか。医局の権限の衰退と共に、その保障能力のかげりも著明です。
地域住民の安心・安全ネットワークにおける医療の役割は重大です。その中核に開業医がいます。地区医師会の最大の役割は開業医の安心・安全の確保です。公共性とは「無くてはみんなが困る」です。公益性は「有ればみんなの役に立つ」です。再度、問いたい。「開業医の存在は公益性なのか公共性なのか」と。「地域医療の崩壊」とはまさに「公共性の喪失」にほかなりません。
御津医師会は国立病院機構岡山医療センターに対して何が寄与できるのか。答えのひとつが在宅医療の推進です。入院の必要性が少なくなった患者をできるだけ迅速に在宅医療に迎える体制づくりです。入院用の病床は貴重な社会資源です。効果的にして効率的な病床の活用に寄与できれば幸いです。御津医師会として包括的な在宅医療体制推進に尽力をしたく思っています。あらためて、青山興司院長をはじめとする国立病院機構岡山医療センタースタッフの英断に感謝します。

投稿日時: 2009-07-03 16:13:16 (1081 ヒット)

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