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2018年10月巻頭言

「人生の最終段階の医療・看取りの後の事」

 
御津医師会理事 大橋 基 
 
 人生の最終段階の医療はどうあるべきか、厚生労働省は数年ぶりにガイドラインを更新しました。高齢多死社会の進展に伴い、地域包括ケアの構築に対応する必要があることや、英米諸国を中心としてACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を踏まえた研究・取組が普及してきていることなどを踏まえ、以下の点について改訂を行いました。『1.病院における延命治療への対応を想定した内容だけではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、次のような見直しを実施・ 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称を変更・ 医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化。2.心身の状態の変化等に応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むか等を、日頃から繰り返し話し合うこと(=ACPの取組)の重要性を強調。3.本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載。4.今後、単身世帯が増えることを踏まえ、「3」の信頼できる者の対象を、家族から家族等 (親しい友人等)に拡大。5.繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族等と医療・ケアチームで共有することの重要性について記載。』
Advance Care Planning(ケア計画事前策定プロセス)【Shared Decision Making(共有意思決定)とBest Interest(“本人にとっての”最善の選択)】が必須のものとなりつつあります。Living Willを残すことだけでもなかなか難しかった状況で、共有意思決定と本人にとっての最善を十分確認して、ケアを届けることができるのか、関係者に覚悟が求められているのではないでしょうか。もう一方で、在宅医療を進めるうえで、在宅で最期を迎えることを選択され、看取られたご家族のグリーフケアにもなるのではと、その時の思いとか、医療・介護に対するご意見を伺う機会があったらよいのではないかという事で、佐久総合病院への視察での見取りの会の様子を聴いて話しあいました。結論としては是非やってみようという事になりました。「故人を偲び想いを語る会」です。ご遺族の方にお声掛けしたところ、はたして10を超えるご家族にお集まりいただけました。故人への思い、ご自身の感情の変化、現在の心境、また終末期に経験した医療、ケアへの貴重なご意見を伺う事が出来ました。集まられたご家族の温かい雰囲気が良くて続いています。見取り文化の創造につながればという思いもありますし、自分たちの医療行為がどのように評価されているのか振り返ることにもなっています。
 最近、人生の最後の時間をどのように過ごすべきなのかについて考える機会が増えた気がします。生きていることが大切であり、少しでも長く生きられるよう病気と闘うという生き方もよいでしょうし、病気を受け入れて穏やかに最期の時を過ごすという生き方もよいでしょう。それを十分な説明を受けたうえで、自分で選択できる時代となりました。人生の最後に必ず訪れる死という事に逃げずに向き合う事が今まで以上に求められている時代なのだと思います。高齢多死社会はすぐそこまで来ています。
 

投稿日時: 2018-09-27 14:16:34 (111 ヒット)

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