2009年06月 巻頭言
御津医師会会長 菅波 茂
御津医師会「地域医療を守る」相互扶助プログラムにある有事医師派遣の「有事」を単なる病気や事故だけでなく、新型インフルエンザ対策従事中や地震被災者救援活動中の事故の時にも拡大する必要性がでてきました。
行政の見解は「新型インフルエンザ流行に対する発熱外来等に従事する医師のインフルエンザ罹患時や死亡時の補償はしない」です。即ち、自己責任です。良心的に地域住民や患者のために積極的に動いた医療従事者ほどハイリスクになる図式となります。要領よく逃げ回った医療従事者ほどリクク回避ができることになります。対策トップである行政が責任回避をすれば、関係者は見習う。これが現実です。積極的に動いた医療従事者の死を自己責任にしていいのでしょうか。
公共性とは「なければ皆が困る」ことです。したがって、税金の投入が認められます。逆に言えば、税金を使用している団体や税金を免除してもらっている団体は新型インフルエンザが納税者である国民に襲いかかった時こそ最前線に立つことが求められます。公共性の実施です。なぜなら、現在の民主主義国家である日本の公共性は税金によって担保されているからです。
新型インフルエンザ対策に、医療従事者の中でも特に医師が積極的に動かなければいけない理由が3つあります。一つは医師が新型インフルエンザに関する高度な知識と医療技術を持っている専門家です。2つは国家から信託されている医師免許の意味です。3つは医師養成に多大な税金が投与されているからです。
御津医師会として積極的な対応策を実施するのは、上記の理由に加えて個々の会員の対応を超えていると認識しているからです。また、医師会として団結しなければ個々の会員と私たちを必要としている地域住民を守れないからです。
会員の団結なくして医師会活動は成立しないことのご理解をお願いします。
投稿日時: 2009-06-10 17:04:53 (1634 ヒット)