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2022年 7月 巻頭言

巻頭言

 

御津医師会会長 難波経豊

 

 この度、御津医師会の会長に就任いたしました難波経豊です。岡山市北区北西部から吉備中央町までの2行政を含む広大な地域をエリアとし、県下の地区医師会で岡山市医師会、倉敷市医師会、津山市医師会に次ぐ4番目に多い130名の会員を抱え、70の医療機関を有するわが医師会を率いていくことになり、多分な重責と緊張感を感じるところではありますが、任を受けたからには微力ながら全力を尽くして責務を全うする所存ですので、ご協力およびご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い致します。
 御津医師会の足跡を辿ってみますと、当医師会は県下の他の郡市医師会と同じく大正9年に、御津郡をエリアとした法定の御津郡医師会として誕生いたしました。当時の御津郡は、現在の岡山駅西口から吉備中央町旧加茂川地区までの広大な地域を占めていました。しかし、第二次世界大戦中の昭和17年、国策によって県下全ての郡市医師会が解散の憂き目に会い、御津郡医師会は官製の岡山県医師会御津支部となって終戦を迎えました。そして戦後の昭和22年、当時の御津郡をエリアとした新たな御津郡医師会が誕生いたしました。しかし、昭和27年には、牧石村、大野村、今村、芳田村、白石村が、御津郡から岡山市に編入となり、これらの地区の会員は岡山市医師会に移りました。一方、昭和46年には一宮町と津高町が岡山市に編入となりましたが、これらの地区の会員は御津郡医師会に残って下さりました。この先人たちの決断が現在の存在感ある御津医師会の礎であり、心から感謝の念に堪えません。ただ、エリアに御津郡と岡山市が含まれることとなりましたので、名称から郡を外して御津医師会となりました。その後、平成16年に加茂川町が上房郡賀陽町と合併して加賀郡吉備中央町となり、平成17年には御津町が、平成19年には建部町が岡山市に編入となり、これによって御津郡は消滅し、現在の岡山市と吉備中央町の2行政の形となりました。平成27年には吉備医師会から高松足守地区の会員が当医師会に移られ、現在の御津医師会のエリアとなりました。
 この100年以上にわたる御津医師会の歴史の中で、戦前の医療黎明期から、戦時医療体制、戦後復興、国民皆保険、介護保険導入、大水害、新型インフルエンザや新型コロナのような感染症など、多くの苦難や変革に先人たちは対応して乗り越えてきました。新型コロナ感染症は少し落ち着いてきたように見えますが、最近は立て続けに災いが起きており、この先どんな苦境に晒されるのか、それに対して先人たちのように医師会を率いて適切に立ち向かえるのか、などと考えると不安になります。しかし、会員に多くの先生方がおられることが私にとって大きな救いです。会員の先生方のご協力ご助言によりしっかりと乗り越えられると確信しておりますので、何卒宜しくお願いいたします。
 私は、理事として8年、そのうち副会長として6年、当医師会の役員として歩んでまいりました。この8年間、当医師会内外の様々な先生方や地域住民の方々とお会いでき、様々な集まりにも出席させて頂き、大変貴重な経験をして参りました。
 私がA会員として御津医師会に入会したのは、継承開業した10年前でした。入会時には医師会への入会の意義がよく分かりませんでした。これは今では逆に新規開業の先生方から時々お聞きすることです。開業医を始めるとその実務的な意義は必然的に理解できました。8年前に理事になり、医師会は地域住民の医療福祉のために役立つべきだということを学びました。7年前には高松足守地区の先生方が吉備医師会から転入されました。互いにそれまでの活動方針が異なり、考え方に隔たりがありましたが、これからは同じ医師会の仲間としてあっちだこっちだと区別するべきではないとの理事の叱責に学びました。6年前に副会長になり、それによって岡山市内医師会連合会の役員も担うこととなり、行政と医師会とのつながりを学びました。新型コロナ感染症の時代になると、オンラインという新たなコミュニケーション手段の導入に携わりました。しかし、地域活動や会員交流は委縮を余儀なくされた状態が続いており、今後の活動再開を考えながら今に至ります。
 理事として8年間、いろいろな方から様々な意見や指摘に接し、医師会とはどうあるべきかを考えさせられてきました。真反対の意見や指摘であってもどちらの考え方も頷けるところは多く、考え方は十人十色で多様性に富み、これらを一つにまとめることは到底できないとの思いに至りました。様々な意見や指摘は参考にしながら、自分を信じて進めばよいとの考えに至るのに、8年は短いようで十分な時間でした。
 会員の先生方と地域の住民は医師会にとって両輪であり、どちらへの視点が欠けても前に進めないと思っています。会員の先生方への視点としては、開業医、勤務医、そして、様々な専門科の医師など、多種多様な会員の先生方に、できるだけ偏らない対応を目指していきたいと思います。行政と医療機関を仲介する委託業務に加えて、会員への情報発信、会員間の情報共有、会員からの意見集約を、迅速かつ敷居の高くない形で行える方法を構築し、運営に活かしていきたいと思っています。地域の住民への視点としては、地域とのコネクションを維持しながら、多科多職種で連携して地域の医療福祉の向上に中心的に関わっていきたいと思っています。会員の先生方、地域の住民、その両者に役立つ医師会として運営していきたいと思います。
 真面目な時はガッツリ真面目に、息を抜く時はガッツリ息を抜いてが私のスタイルです。楽しく真面目に任期を走り抜きたいと思っています。
 開業までのあまり口にしないニッチな自己紹介も書こうかと思っていましたが、もう書き過ぎましたので、またの機会にします。若輩で危なっかしい部分もあると思いますが、精一杯頑張りますので、お支え頂けますよう、宜しくお願いいたします。
 

投稿日時: 2022-07-07 11:21:56 (146 ヒット)


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