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2021年10月 巻頭言

巻頭言

 

〜雑感〜

 

森脇内科医院  森脇 和久
   

 会員諸先生方、唐突ですが、自分だけの至福の時間、どのぐらいお持ちですか?

 先日、小型ヨットでの太平洋往復に成功したテレビキャスターの辛坊治郎氏、帰国後のインタビューで、「人は必ず死ぬという事がよくわかりました。死ななかった人は歴史上ひとりもいないんですね。だから必ず死ぬわけですよ。そうすると、生きている間に何をするかって考えた時に、いくらお金がもうかるからといって講演に行って喋って、人生の残り時間を使うのはどうなんだって、今回真剣に思いましたね」と答えていました。
 翻ってわが身を振り返ったとき、開業して27年、齢70を超え、一番の至福の時間は一人っきりになれる往診時の20〜30分間の車の中、なんとさみしいことか。残された人生、自分だけの至福の時を持てる“働き方”はないものか?と考えた時、ふと「スローライフ」と「断捨離」という二つの言葉を思いうかべました。
「スローライフ」とは“田舎でのゆっくりした、のんびりした暮らし”のようなものではなく、生活にメリハリをつけて“自分の時間を作りゆっくり楽しむこと”、「断捨離」とは“ただものを捨てて片付けること”ではなく、今の自分にとって不要・不適・不快なものを手放し“自分に必要な快適な時間と空間を取り戻すこと”、であるようです。いずれもこの二つの言葉に共通することは“自分の時間と空間を作り、よりよく生きる”という事でしょうか。
 「スローライフ」、「断捨離」を実践する具体的な方法は? 究極の方策“自分の診療所を手放す”という覚悟はまだありません。今の”働き方“を考え直さざるを得ません。競い合って仕事量を増やすより、お互いに協力し合いながら効率よく成果を上げるようなシステム、「開業医の働き方改革」を皆さまと一緒に考えられないものか・・・・。生物学者の小林武彦氏によれば“生物はなぜ死ぬのか?生物の死は生命の連続性を維持する原動力であり、進化するためには生物は必ず死ななければならない。長寿になるためには子孫を増やす子育てと、スローなストレスのない生き方が必要”とのこと。

 必ず訪れる“死”をまえに、今少し効率よく仕事をし、自分の自由な時間と空間を持ちたいと考える今日この頃です。   太平洋単独往復とまでいかないまでも・・・。

 

投稿日時: 2021-10-05 11:05:29 (212 ヒット)


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