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2022年 1月 巻頭言

巻 頭 言

 

御津医師会会長 中山堅吾

 

 明けましておめでとうございます。
 今年こそは平穏な一年であります様にとあちこちの神社仏閣でお祈りしております。ここ数年まれにみる洪水、予測不能な感染症とくれば次は地震かと思ってしまう今日この頃です。また世界を見渡すと相変わらず中東は不安定で、日本周囲は中国と北朝鮮、その背後で暗躍するロシアと物騒な情勢になってきています。“安心”と“平和”と言う言葉は永遠のテーマになるのでしょうか?
さて今回は“開業医”をテーマに物申してみました。一部県医師会長協議会で私が質問した文言が入っております。
 私が思い描く開業医(診療所)とは、その地でその地域住民の方と共に生活し同じように年を重ねて、地区の方々の健康をおじいさんから孫まで家族あるいは親族単位で診ていくと言うのが理想と考えております。
御津医師会内でここ数年閉院する診療所が何件かございました。新規開業はあるものの開業費用の増大や診療報酬の減少、また特に人口減少の地域では今後新規開業は少ないものと考えます。周りを見回してみると地域医療を担ってきた御津医師会の開業医も70歳を超える先生が目立ってきました。後継者がいない診療所も多くあります。この問題は他医師会も含め全国的な傾向ですが、地域の医療、特に中山間地の医療を守るためにも重要な課題であります。例えば、加賀郡吉備中央町は医療機関も医者の数も少なくなり地域住民の方が大変不便を感じております。最近の山陽新聞に岡山県の住民人口が掲載されておりましたが、吉備中央町は県内で人口減少率が8.9%とトップクラスであり、増々新規開業をするのが難しい状況になっております。また診療所の減少は地域の医療事情が悪くなるばかりではなく、学校医、産業医、休日当番医、介護認定審査員等医師の公的出務にも影響してきます。行政サイドはもっとこの問題に突っ込んで議論し、今後の対策を早めに検討して頂きたいと思います。例えばですが、人口が少ないために収益を期待できない地区に開業するお医者さん対して、何かしらの税金を免除する等の大胆な政策を期待したいものです。
 また、有床診療所問題もあります。有床診療所はこれまで地域に多大な貢献をしてきましたが、最近入院ベッドを廃止する診療所が増えてきたのも大きな問題です。夜勤看護師確保が難しくなった診療所も多く、さらに有床診療所の先生方も70歳前後となっており、ご自分の体力と相談して病床を廃止する診療所も見受けられます。
 内科系は無床、有床診療所区別なくこれから減少していくものと思います。それを見越してか最近M&Aなる医療継承業者からの郵便物やメールが増えて来ました。このM&Aに頼むと、成立するまでに2〜3年かかり結構な報酬を支払うとの情報もございます。岡山県医師会でもこの問題に取り組んでおられ、「医療継承バンク」事業をされておられますが、なかなか売り手と買い手の条件が合わず、これまでの実績は1件にとどまっている様です。病院の先生方で今後の開業を視野に入れておられる先生方もそれなりにいらっしゃるものと思います。しかしながら先述したような理由で二の足を踏んでいる先生もおられるでしょう。県医師会から病院の先生方にもっとこの制度を広く宣伝して頂きたいのですが、病院側も医師不足の医療機関が多いと思われ、余り大っぴらに宣伝出来ないのが実情かもしれません。どちらにしても早く手を打たなければ年々医療過疎地が増えて来るものと予想できます。無医地区をなくすため御津医師会としても出来ることを考えて行こうかと思っております。皆様も何か良い方法を思いつかれたら教えてください。また、廃院や医療継承を考えている先生はお役に立てるかどうか分かりませんが一応御津医師会にご相談ください。地域医療を継承するため皆で考えなければならない問題です。
 

投稿日時: 2021-12-27 15:25:57 (195 ヒット)


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