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2020年1月巻頭言

巻 頭 言
 
「最近の医療情勢・私的意見も含め」
 
御津医師会会長 中山堅吾
 
 明けましておめでとうございます。
 医師会長に就任してから約1年半が経過しました。皆様のご期待に沿えないことも多々あったかと思いますが、副会長や理事の皆様方のお蔭で何とかやっております。これからも医師会員のための医師会を目指していく所存であります。
 さて、最近病院や診療所への種々の政策が取り上げられており気になるところであります。「最近の医療情勢」などと言えば私如きには重すぎるテーマでありますが、医師会長になり行政主導の種々会議に出ていますと、医療に携わる人間にとって今大変な時代に突入して来ているのだとつくづく思い知らされ、また危機感をひしひしと感じております。危機感と言うのは勿論経営的な問題も含めてです。
 厚労省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年問題に絡み、医療需要を把握し効率的な医療提供体制の構築を目指して、「地域医療構想」を都道府県ごとに作るよう法律で定めました。いわゆる高齢化や人口減少に合わせてベッド数や医療機関数を操作する法律であります。その方針に合わせて、岡山県でも数か月に一度行われている各県民局単位の会議があります。この会議は「地域医療構想調整会議」と言いますが、目的の1つは、いわゆる収益の悪い公立・公的病院の統合・編成であります。早くも玉野市民病院と玉野三井病院の合併が発表されております。もう1つは、民間病院も含めベッド数の調整です。新規の病院は勿論のこと、従来の病院のベッドを動かす時にもこの会議での承認が必要となっております。しかし、この「地域医療構想」もなかなか進展しないため、厚労省が痺れを切らし、ご存知の様にこの度収益の悪い公的・公立病院を公表しました。また、診療所の新規開業にあたっても学校医や介護認定審査員等になることを条件としようとしております。
 開業医問題も深刻であります。特に心配なのは、これまで地域医療に多大な貢献をしてきた有床診療所が減少傾向にあることです。院長先生の高齢化や後継者問題、また従業員の確保が難しくなったためです。これらの問題は無床診療所でも同様であり、中山間地での医師(開業医)偏在の原因になっております。市街地以外では院長先生の平均年齢が60歳を超えているところが多くなっております。また、後継者問題の要因のひとつは、やはり地方の人口の減少です。子供が医者になっても、診療所の診療圏域の人口減少が進み、患者さんが少なくなってくると経営自体が難しくなるため、後継ぎに戻って来いとは言えないですよね。この後継者問題は医師会としても考えなくてはならない重要問題の1つと考えております。岡山県医師会が「医療継承バンク」と言う先進的な事業をされていますが、その成果を期待したいところです。また地方(中間山地等)における後継者問題は、大学の教室や地域の基幹病院も考え取り組んでほしいと思っております。病院としても連携医療機関の減少を防げるかもしれません。また地域包括ケアシステムを考えても、その中心となる地域の診療所は必要であり、さらに国が進めている在宅診療もその地域に診療所がなければ難しくなるでしょう。
 以上、病院も診療所も時代の大きな転換期に来ているのは間違いなく、また医師会も同様に転換期を迎えていると思っております。今後、日医、県医も含め医師会運営のかじ取りは増々難しくなってくると思います。
 本年も医師会活動にご協力の程何卒宜しくお願い申し上げます。
 

投稿日時: 2020-01-01 09:00:00 (254 ヒット)


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