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2020年11月巻頭言

巻頭言

 

国立病院機構金川病院 大森信彦

 

『半沢直樹』に寄せて

 

 右を向いても左を向いても「コロナコロナ」の世知辛い昨今ですが、「倍返し」が社会現象となって、2013年の流行語大賞となったTBSドラマ『半沢直樹』の新シリーズが帰ってきました!この巻頭言がアップされる頃は、最終回が終わり、「直樹ロス」で、日曜夜、私を含めた多くの視聴者が路頭に迷っていることでしょう。今回はコロナ禍で撮影が進まず、満を持しての放映となったこともあって、出演している俳優たちの力の入りようは、前作に増して鬼気迫るものがありました。歌舞伎界出身の方が多く、口角泡を飛ばす長いせりふ回しや見えを切るような挙措もさることながら、「顔芸」のすさまじさ、半沢役の堺雅人や大和田役の香川照之が連発するアドリブ名言に思わず引き込まれ、無意識のうちに職場で、「施されたら施しがえす・・・・」などと口走ってしまったり・・・。そんな経験をお持ちの方も少なからずなのではないでしょうか。池井戸潤の原作とはだいぶ違った展開の部分もあり、次週はどうなるのかとワクワクする毎週でした。半沢が最後に勝利する勧善懲悪・柔よく剛を制する、現実ではありえないようなストーリー展開は見えているのに、水戸黄門的お決まり感がない。「昨日の敵は今日の友」のような駆け引きは、ただの愚直な正義漢ではないしたたかさ・レジリエンス、「無理」を「可能」に変えていくタフネスさといったものを表現していて、コロナ禍で受けた打撃を千倍返ししたいわれわれ庶民の深層心理を代弁してくれているから痛快なのかもしれませんね。
 シリーズ1は2013年夏、第2次安倍政権発足直後。シリーズ2は2020年夏、安倍政権終焉と菅内閣発足のタイミングでした。悪夢の民主党政権が国の品格を貶めた時期と、コロナ禍によって社会の不具合が炙り出され、優れた政権であった安倍政権の問題点も多々露呈して退陣に至らざるを得なくなった今の時期に、『半沢直樹』というアイコンが出てきたのは、ある意味必然であったのでしょう。ちょっとやそっとではへこたれない民度を誇る日本人。傍若無人の近隣諸国にも毅然として対抗し、厄介なコロナにも、疲弊はしていても冷静に崩壊せずに持ちこたえている医療体制。いろいろ非難されても、台湾に次いで世界トップクラスの感染コントロールができている公衆衛生体制。ともすれば自虐的に自国を評価する性癖のある日本人ですが、ワイドショーやオールドメディアの印象操作に惑わされず、しっかり情報を収集して、正しくあるべき道を「なにくそっ!」と進んでいきたいものです。
 さて、『半沢直樹』シリーズ3は、今度いつリリースされるのでしょうか?
 本当に、たのしみDEATH!!!
 

投稿日時: 2020-10-29 13:21:12 (227 ヒット)


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