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2025年1月 巻頭言

巻頭言

御津医師会会長 
難波経豊

 新年明けましておめでとうございます。
 速いもので、あっという間にまたひとつ、年が過ぎて行きました。とは言え、昨年を振り返ると、元旦の大震災から始まり、歳の瀬には来年度からの帯状疱疹ワクチンの定期接種化の報せまで、やはりいろいろなことがありました。
 能登半島での大震災による惨状には目を見張りました。医師会として何かできることがあればと思いながら、大きな組織の被災地支援を横目に、結局は何をすることもなく過ぎました。個人的には福井大学の出身であり北陸は第二の故郷ですので、北陸での大災害に対する県医師会からの被災地支援チーム編成への依頼には心が揺れましたが、自院を守る立場の自分が何を優先するべきなのかと考えた末に見送りました。かたや支援に向かわれた開業医の先生方もおられ、尊敬の念を抱くとともに、志あらば開業医も被災地支援に向かえるように後方を支援する仕組みができないものかと考えさせられました。
 災害が起こるたびに、備えの議論が盛り上がります。いずれ起きると言われている東南海地震を含め、行政は郡市等医師会に対して発災時の公的支援(救護所の立ち上げやそこへの医師の参集など)を要求します。しかし、在籍医師の多い大病院はともかく、一馬力もしくはそれに近い状況で自院を守る立場の開業医にそのような協力ができるのかと、しばしば議論になります。それにはやはり上記のような後方支援が必要ではないかと、郡市等医師会を超えた枠組みの中で少しずつ議論が始まっているところです。
 春には診療報酬の改定がありました。新設のベースアップ評価料には現場から批判の声が多く、算定していない医療機関の方が多いのが現状です。算定する医療機関が少ないと次回の改定で廃止されかねないとして、日本医師会や県医師会は算定の促進に躍起ですが、現場の反応は芳しくないようです。内科領域では、特定疾患療養管理料から高血圧症、高脂血症、糖尿病の3大生活習慣病が外されました。代わりに生活習慣病管理料�兇�新たに創設されましたが、結果的に算定点数が下がるうえ、計画書作成など運用の煩わしさもあり、不満が広がりました。
 昨年末には従来の健康保険証の新規発行が終了しました。有効期限までは従来の保険証が利用でき、資格確認証も発行されますが、徐々にマイナ保険証に一本化されていく流れです。個人的には国によるDx利用の無理強いに思え、自身にさほどの利も無いのに振り回されることへの煩わしさを感じざるを得ず、またそれ以上に、医師や患者を問わずITに詳しいはずのない年配の方々が振り回されているのを見ると何ともやるせなくなります。
 当医師会エリアである吉備中央町円城地区では、水道水で高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)の検出が発覚し、健康被害への不安が高まりました。町は昨年末に、この水を摂取した住民などを対象として血中PFAS濃度測定の検査を行いました。ただ、結果が高値であったことで医療機関を受診するであろう方々への対応について準備不十分のまま検査を行った町に対し、医療現場から不満の声が出ています。
 同じく吉備中央町は、令和4年に内閣府から「デジタル田園健康特区」の指定を受け、デジタル活用と規制制度改革による新たな医療サービスの立ち上げを、岡山大学とともに進めています。しかし、残念なことにこれまでは、地元の医療機関の知らぬところで事業が進んでいました。今後は、地元の医療機関をまとめる御津医師会(旧加茂川町地区)と高梁医師会(旧賀陽町地区)も参画し、町と岡山大学とともに事業を進めていくことになりました。
 その他、岡山市立の学校医・園医の報酬、学校健診や乳児健診など健診のあり方、岡山市の休日当番医の報酬などの問題も顕在化してきました。今回の介護報酬改定で入所系介護施設に義務付けられた協力医の問題も生じています。
 何かいいことは無いのかと思いを馳せても、なかなか思い浮かびません。1つ挙げると、会員同士のコミュニケーション手段として構築したメーリングリストが、普段は医師会から会員の先生方への情報提供に利用されていますが、時に会員の先生方の相談や意見交換などにも利用されるようになりました。以前、ある会員の先生が「周りに多くの医師がいる大病院とは違い、開業医は孤独」と話していました。私も同感であり、会員同士がつながっていて、必要な時にいつでも連携できる安心感は力強いものだと思っています。
 さらに、当医師会から外を見ると、やはり同じく会員の減少や高齢化に直面する医師会が多く、学校医や園医などの人手不足も顕在化しています。実際に近隣で医師会の消滅と吸収合併もありました。今後、恐らく様々な分野で、医師会同士が連携して対応する必要性も増してくることが予想されます。昨年、県内の医師会同士が連携を取りやすくするための連絡手段を、いくつかの枠組みで提案し構築しました。今後の医師会同士の連携、そして問題解決の糸口に少しでも資すればと期待するところです。
 今年も恐らく華々しいことはできませんが、会員の先生方の医療活動、そして、地域住民の方々の福祉のため、地域医療の支援を地道に進めて行く所存です。医療以外に目を移せば、ファジアーノ岡山の来年度のJ1昇格という地元にとって素晴らしいことがありました。私はサッカーはあまり見ませんが、これからは少し注目しようかと思っています。
 ちなみに、私の巻頭言はこれでちょうど10回目になります。初めて書いたのがちょうど10年前で、理事になった平成26年でした。歳月の流れは速いものです。
 最後に本年が、会員の先生方、そして、地域の住民方にとって、平穏無事な一年となりますよう祈念いたします。本年も何卒宜しくお願い致します。
 

投稿日時: 2025-01-06 10:57:56 (452 ヒット)


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