2016年10月巻頭言
〜 これからは遠隔診療? 〜
御津医師会理事 森脇 和久
「AI活用で社会変革」、本日の読売新聞のトップ記事です。政府は成長戦略の具体策として人工知能(AI)を活用した第四次産業革命を推進する4分野を提示、医療・介護もこの中に含まれています。インターネットニュースを開けば、“AIが医療を変える!わずか10分で白血病を見抜き患者を救ったIBM Watoson の底力と題し,東大医科研の実例を紹介、なかなか治療できなかった60歳の女性患者の正確な白血病の病名をWatosonが10分で見抜き、病名から割り出した適切な治療法で患者の命を救った”という記事が掲載されています。“東京オリンピックが開催される2020年には全てのものがインターネットにつながり、医療はIoTの世界ヘ、ウエアラブルとデバイスどうしが人間を経由せず接続、膨大な医療情報が共有され、病院と生活環境の距離が縮まり医療とヘルスケアが一体化する”とか、小生には理解不能な映画でしかみたことのない様なシーンが実現されようとしています。
折しも、“遠隔診療のいま、オンライン無料セミナー”なるDMが送られてきました。遠隔診療は医師法に抵触するものでまだまだと思っていましたが、昨年6月に決定された「経済財政運営と改革基本方針2015」において、“情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について”という通達があり、実質的には「遠隔診療」が認められたものと解釈できます。在宅糖尿病患者、在宅高血圧患者、在宅がん患者等々、われわれが現在診ている患者さんの大多数が遠隔診療の対象となりそうです。働き盛りで病状的にもおちついている患者さんが、受診のため病院で長時間待つ間の経済的損失を考えると、この「遠隔診療」は社会的に当然受け入れられるでしょう。“ポケットのスマホから病院にアクセス、主治医とモニターで会話、薬は宅配、電子マネー決済”現実です、“かかりつけ医”ならぬ“ポケットドクター”というそうです。
先生方、患者さんを待合室で長い間待たせながらの今の外来診療、このまま続くと思われますか?大病院が外来でこの遠隔診療を始めたら、開業医は・・・・・?この分野では日本より進んでいる韓国で、遠隔診療に積極的なサムスンソウル病院に医師会が反対しているとか・・・・。日本医師会も遠隔診療には消極的ですが、患者さんにとってはどっち?
今のうちから我々も用意しておかなければ、と思う今日この頃です。
投稿日時: 2016-10-03 11:37:35 (730 ヒット)