2009年05月 巻頭言

                                    御津医師会会長 菅波 茂
「最悪を想定して、最善を行う」ことが危機管理です。メキシコ発の豚を介在したインフルエンザの流行がWHOの規定する5段階から最悪のパンデミックとしての6段階に迫る状況です。雑食をする豚と人間の体質は似ています。その豚を介していることが肝要です。今回、無事に終息しても冬になると再発生します。今年か来年か。現在以上の大流行になる高い可能性があります。

御津医師会としていかなる対応をすべきか。御津医師会が地域医療をどのように考えているかを問われています。地域医療とは医師会会員と地域住民との医療を介した信頼関係です。地域住民が生命の危機に瀕した時に医療専門家である御津医師会がどう対応するのか。信頼関係を更に積み上げるのか、一気に崩壊させるのか。逃げるのか逃げないのか。究極の選択です。地域住民はじっと注視しています。

行政は開業医に対する支援は予定していません。発熱外来の設置とインフルエンザ患者を収容する医療機関だけです。一方、開業医には診療所を開けていて欲しいとの期待です。行政からの支援なしに個々の開業医がパンデミックに立ち向かえるのか。太平洋戦争時の南方戦線における武器なし食料なしの日本軍の玉砕状況が彷彿します。しかし、「人の命を見放してはいけない、人の命を救え」という国家免許を与えられている医師の敵前逃亡は道義的にも許されません。

御津医師会としての対応策を積極的に検討しています。御津医師会としての発熱外来の設置とインフルエンザ患者収容医療機関のできない患者宅への往診です。幸いにも、御津医師会にはインフルエンザ対策活動に必要な資金が残されています。複数の箇所での発熱外来設置そして患者宅への往診時に会員を守るために不可欠な装備の準備をすすめています。御津医師会範囲の地区住民にインフルエンザが襲いかかる前に万全の準備ができるように急ぎたいと思っています。間に合えば個々の開業医の診療所は閉鎖です。道義的にも許されるはずです。会員の理解と協力をお願います。

投稿日時: 2009-05-20 21:44:05 (1122 ヒット)


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