2023年 6月 巻頭言
巻頭言
御津医師会会長 難波経豊
街が活気を取り戻しつつあります。
思い返せば令和の時代が始まって間もなく中国の武漢で感染が報告され、そこから急速に拡大してパンデミックと呼ばれる世界的な流行となり、世界中を自粛と制限と隔離と疑心暗鬼と命の危険に陥れた約3年半のコロナ禍。我々医療従事者一同、戦ってきたのか、振り回されてきたのか、いずれにせよ必死にもがいてきたものと思います。本年5月5日にWHOの緊急事態宣言が終了し、5月8日には新型コロナウイルス感染症のわが国での感染症法上の位置付けが5類に移行し、一応の区切りは付いたのではないかと思います。約3年半の長い長いトンネルを抜け出た気がします。
ただ、感染症法上の位置付けが5類に移行したとはいえ、新型コロナウイルスが消滅したわけではなく、強い感染力を維持したまま居続けており、高齢者ではその感染による致死率も変わらない状況で、緩んだ状況が再び感染拡大や高齢者の死亡者数増加を助長するのではないかと不安な気持ちもあります。しかし、これから少しずつでも窮屈な世の中が和らいでいくことに期待しています。アリスの有名な曲に「悩み続けた日々がまるで嘘のように忘れられる時が来るまで心を閉じたまま...」という歌詞がありますが、コロナに振り回された日々と重なります。まるで嘘のように忘れられる時が少しでも早く来て欲しいものです。
さて、本年度の総会も終わり、会長職を拝任して1年が過ぎました。この1年間の会長職の感想を少し述べてみます。以前は会長職とは超多忙なものであろうと思っていました。しかし、コロナ禍で活動が阻まれていたことやオンライン会議が多かったことも一因とは思いますが、思っていたほどの忙しさではありませんでした。ただ、どうしても診療後の夜に医師会の仕事を行うことになり、ビール片手にぼちぼちやってはいますが、そこは少しハードかなと感じます。日中の事務局からのメールにすぐに返信できず、申し訳ない気持ちや、不安な気持ちにもなります。また常に、あれはどうしようか、これはどうしようか、などと暇があれば考えている自分がいます。時折「先生のメール読んでるよ」「随分変わってきたね」などと会員の先生から声をかけて頂くことがあり、本当に嬉しく感じます。いつか来たる後進への参考になればと思います。
そんな中、以前から気になっていたことがありました。会員同士が情報交換する手段の不足と、会員が会に気軽に意見を出せる手段の不足です。後者は、私が副会長になった頃にある会員からいただいた指摘であり、私もその改善の必要性を感じていました。そこで、これらを改善するため、新たに双方向型の会員メーリングリストを作ってみました。何の変哲もないメーリングリストですが、アイデア次第でいろいろと活用できると思っています。会員の意思疎通の基盤として今後活用していく所存です。
もう一つ気になっていたこととして、医師会の各業務を基本的に理事1名が担当する負担の重さがありました。そこで、各業務を複数の先生が担当して負担を分散化するため、各業務を委員会とする委員会制を立ち上げました。今後はこの効率的な運用を考えていきたいと思っています。
これに加え、昨年度の医師会の活動としては、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や発熱外来の下支えを行ってきました。とは言え、やはり昨年度はコロナのために活動の制限を強いられた状況でした。今年度は岡山市から、活動再開のエンジンをかけろとばかりに在宅医療や在宅看取りに関する委託事業が山盛りです。もちろん当医師会の自発的な活動も含め、今年度は活動を盛り上げていきたいと思っております。そしてなにより会員同士の対面の交流を増やしたいと思っています。
コロナ禍も分岐点を迎えたように思われ、今後は以前の活気のある御津医師会を取り戻していきたいと思っています。今後ともご協力のほど、何卒宜しくお願い致します。
投稿日時: 2023-06-13 14:52:56 (197 ヒット)