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2016年12月巻頭言

 岡山市北部地域前立腺がん地域連携パスの運用を開始して

                    御津医師会理事 津島 知靖 
 日に日に寒くなり,また,日没も早くなっています。今年はインフルエンザの流行が早く始まっているようですが,先生方の施設での受診状況はいかがでしょうか。アメリカ大統領選ではトランプ氏が当選し,また,日本では10月21日の鳥取県中部地震に続いて,11月22日には福島県沖地震が発生しました。自然現象も政治も地球を取り巻く環境は不安定で,この先どの方向に向かうのか先行き不透明です。
 さて,11月17日の学術講演会でもお話しさせていただきましたが,地域がん診療連携拠点病院である岡山医療センターは,同院を専門施設,御津医師会の先生方をかかりつけ医として前立腺がん地域連携パスを準備してまいりました。岡山県には,岡山県がん診療連携協議会が設置されており,岡山県統一版5大がん地域連携パスを公開していますが,前立腺がんは5大がんには含まれていません。そのため,統一パスは存在せず,一からの作成を余儀なくされました。岡山市北部地域合同連携デスクのメンバーである岡山中央病院に協力していただき,各種書類を揃えました。また,準備会として,1月には岡山市および近隣で開業している泌尿器科医との会合を持ち,専門的な意見を伺いました。さらに,3月には御津医師会の先生方と情報共有の会を持ちました。当初の予定から遅れましたが,7月に届出を行い,8月から運用を開始しました。また,参加の意思表示をいただいたご施設でも,届出の基準をクリアが出来ていない場合は,届出を行っていません。ご了承いただきたく存じます。
 前立腺がんは進行が緩徐な症例が多く,連携パスに適した疾患です。ただし,治療を目的とした入院の退院時または退院後30日以内に患者の同意を得て,治療計画書を作成し,交付しなければ,がん治療連携計画策定料1(750点)が算定できませんし,かかりつけ医でも,がん治療連携指導料(300点)が算定できません。前立腺がんの治療としては,手術,放射線治療と内分泌療法がありますが,手術以外は外来治療がほとんどです。また,手術は入院で行いますが,術後には尿失禁が認められ,落ち着くまではかかりつけ医の先生方にご迷惑になってはいけませんので,泌尿器科での診察が良いと思います。そうすると,退院後30日を過ぎてしまい,地域連携パスの診療報酬上のメリットはあまりなくなってしまします。
 岡山市北部地域前立腺がん地域連携パスでは,パス適応以後の診療を丸投げするのではなく,年1回の岡山医療センターへの受診を組み込む循環型としており,かかりつけ医の先生方や患者の不安を軽減しています。かかりつけ医と岡山医療センターが協力してがんの診療のあたることは,患者にとってメリットは大きいと言えますので,今後ともご協力の程,宜しくお願い申し上げます。
 

投稿日時: 2016-11-30 12:01:22 (866 ヒット)


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