2011年7月巻頭言
在宅医療を医師会全員で推進しよう
御津医師会副会長 森脇 和久
「満床で入院はお引き受けできません。」また断られた。最近はいつも入院を断られる。さあ、どうしようか? 6月21日、午後5時55分、「主人が玄関先で倒れて意識がない。」との患家からの電話で、病院に入院治療をお願いしたが満床との由、別の二つ病院に連絡し、三軒目の病院でやっと引き受けて頂けた。
大震災に遭遇した今年、医師としての使命、医療の原点としての救命救急医療の重要性を改めて痛感した。 翻って、自分は開業医として十分使命を果たしているか? 地域の急性期医療は十分な体制がとられているか? 医師会として地域医療に十分貢献できているか? 等々,色々考えさせられる今日この頃である。
冒頭に述べた事例であるが、入院を断った病院を非難するつもりは毛頭ない。いつも満床で空きベッドを用意できない体制、すなわち急性期→亜急性期→慢性期→維持期→在宅という切れ目のない医療の流れが地域内で構築出来ていない結果と考える。地域医療連携が叫ばれて久しいが、本当に我々が納得できる連携が出来上がっているだろうか? 恐らくどなたも満足されていないであろう。何処に問題があるのか、病院? 療養病床? 老健? 開業医? お互いの連携?…恐らくこれらすべてにおいて問題があろうと思われる。
我々開業医が、上記切れ目のない医療の流れのなかで出来ることは在宅医療であろう。多くの先生方はすでに懸命に在宅医療に取り組んでおられる。小生も「家に帰りたい。家族と一緒にいたい。」という患者さんの希望に沿える様に努力しているつもりである。しかし、「このやり方で本当に家族は満足は満足しているだろうか。もうすこし良い方法はないだろうか」いつも自問自答している。個人個人では限界がある、医師会全体で在宅医療を考えてはどうであろう?
?家族への啓蒙や家族が「死」を受け入れやすくする様な講演会
?多職種間でのメーリングリストの作成(いつでも気軽に話し合えるように)
?病院の医師(入院中の主治医)、医師会員等とのメーリングリストの作成
(色々な科の医師と相談できるように)
?急変時に入院させてもらえる後方医療機関の確保(医師会としてお願いする)
?顔の見えるヒューマンネットワークの構築
等々、医師会でしか出来ないことであろう。
在宅医療は、切れ目のない地域医療連携の要であり、全人的医療を掲げる我々開業医の使命と考える。今、医師会には「地域医療を担おう」というゆるぎない意志と決断力と行動力が求められている。
投稿日時: 2011-06-30 18:32:41 (2377 ヒット)