2021年3月 巻頭言
巻頭言
御津医師会理事 塚本眞言
吉備中央町加茂川地区(昭和30年に円城村、津賀村、長田村、豊岡村、新山村の5村が合併し加茂川町となる。その後、平成16年に賀陽町と合併。総面積は141.15㎢<旧岡山市の面積に相当>)の人口は、昭和35年の国勢調査では11,802人でした。(円城村に限れば大正9年の人口は3,496人、平成16年1,604人、令和3年2月1,158人)昭和35年当時は7名の先生方がそれぞれの地域で診療されていましたが令和3年1月からは週5日診療している診療所は円城の当院のみとなりました。
看護師、ケアマネなど医療・介護専門職の不足問題(募集しても応募がない、人材がいない)なども抱えており、民間だけでは対応できない現実があります。
また、インフラ整備も遅れていて現在はADSL回線で光ファイバー回線が設置できないためオンライン会議への出席も不自由な状況です。某社の分析調査によりますと2040年の推計人口は現在よりさらに約30%の減少が見込まれています。
このような状況下では、医療はもとより日常生活(高齢化に伴う独居生活者の増加、交通手段・食料品調達の問題等)そのものが成り立ちにくく消滅集落が点在する状況となる可能性も否めません。
「吉備高原都市スーパーシティ」構想、すなわち住民の目線でより良い暮らしの実現が早急に望まれるところですが、現実の問題としては官民が一体となって安全で安心して暮らせる地域を守るための施策を一刻も早く実現させることが重要と考えます。
このような状況をふまえ地域包括ケアの医療分野における協力として、この度「医療法人塚本内科医院 津賀クリニック」をサテライト診療所として開設することにしました。しかしながら、一医療法人としてできることには限界があります。細く長く続けるためには御津医師会のご支援、ご協力が不可欠の要素と考えています。ご高配の程、よろしくお願い致します。
幸い地域住民の健康、生活に対する意識は相当に高いと思われます。独居老人も多く最期まで住み慣れた地域で生活するためには自助、互助、共助の困ったときはお互い様の精神が必要であり、この精神が強く根付いている地域と思っています。
余談ではありますが2月18日現在、県下で唯一、吉備中央町のみが新型コロナウイルス感染症罹患者が0人です。(PCR検査はそれなりに受けておられます。)
これからも、高齢化の進んだ中山間過疎地域におきまして社会生活を守るべく、地域住民の皆さんと共に歩みたいと思います。
投稿日時: 2021-03-01 14:52:08 (456 ヒット)