2018年3月巻頭言
巻 頭 言
地域医療連携・「合同連携デスク」と「病診医介連携ネットワーク」
御津医師会会長 大橋 基
地域では高齢の多疾患罹患の患者が増えています。明日は総合病院で複数の科を受診しなくてはいけなが、万全の体調でないと一日持たないので点滴をしてほしいと受診する患者もいます。医療とは何かを考えさせられる日々です。岡山市北部地域は比較的医療機関が潤沢に存在する地域であり、選択肢は多く、情報は錯そうしています。その中で患者は右往左往している場合もあります。このようなことが無いように、ふさわしい場所で療養していただけるように、地域で医療連携を考えてきたつもりでしたが十分ではなったようです。もう一歩進めて、“時々入院ほぼ在宅、時には施設で”・“生活を分断しない医療(医療の目的は生活に戻すこと)”をスローガンに、地域で患者を支える仕組みをつくることを医師会が主導する形で考えてみました。
急性期病院としては、繰り返す誤嚥性肺炎、繰り返す慢性心不全や脊椎の圧迫骨折などはあまり歓迎されません。しかし、在宅ではたいへん困ります。そのような場合に、何とか入院先を確保できないかと考えて、地区医師会が働きかける形で12の病院(高度急性期・一般急性期・回復期・療養型・精神科病院などを含む、当初は6か所から始まり、次第に増加)と医師会の間で、アライアンスを組むことにしました。自宅療養が難しくなった患者が発生した場合の患者紹介の連絡先を統一しました。「岡山市北部地域合同連携デスク」です。二つの病院職員と御津医師会職員が交代で対応している。医師会員は一度電話し紹介状を送付すればよいことになりました。デスクでは、紹介があると参加病院の連携室と相談の上ふさわしい病院を選定し返事を返します。参加病院間でもそれぞれの診療内容に見合った患者のやり取りが行われるようになりました。困ったときはお互い様なのです。月に一回関係者が一堂に会して連携の意見交換会を開催し、顔の見える関係のなかで物事が進んでいます。この一体感が、事例ごとの経過で、問題が生じても速やかに解決策が検討できる場を作り出しています。
デスクが動き出して約一年が経過したころ、退院時の連携もスムースにできないかと「岡山市北部地域病診医介連携ネットワーク」と称しての多職種連携の会を開催し、話し合いをはじめ継続しています。病院からすると面倒な患者も断られる事はほぼ無くなりました。病院としても症状が軽快すれば速やかに元の療養場所へ帰れることは在院日数の短縮にもつながります。行政でもなく、病院でもなく、まさに何でも載せられるプラットホームとして機能し得る、地区医師会が役割を果たすことが地域での問題解決に寄与することを示すことができたのではないかと思っています。
投稿日時: 2018-02-27 13:20:01 (563 ヒット)