2015年2月 巻頭言
御津医師会副会長 塚本眞言
現在の日本において、国民の生命・健康を脅かす生活習慣病は、今や健康長寿の最大の阻害要因となるだけでなく、医療費の増大から医療保険財政の大きな負担となっています。平成20年度から、医療費の抑制や生活習慣病を中心とした疾病予防の観点から、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の実施が保健者に義務づけられました。しかし、我が町(加賀郡吉備中央町)でも、平成24年度の健診受診率の目標値65%に対し、実施率は30%弱でありました。
このため、特定健診事業一つを取ってみても、地域の実情に応じて地域保険に関わるものと職域保険に関わるものとが「データヘルス事業」にも積極的に関わり連携して、早期に効果的・効率的な体制を構築することが必要であることを痛切に感じています。
そこで、小生の日常生活圏域、すなわち限界集落が点在し、高齢化率42.5%の「円城小学校区」ではまず、いろいろな健診データの基となる受診率10%アップを平成27度の目標に掲げました。(「円城小学校区」での問題点は高齢者世帯が多数を占めている関係上「足(交通)の問題」「食事の問題」「見守り・支えあいの問題」など5項目をピックアップしています。)
具体的な行動としては、特定健康診査、がん検診、結核健診の実施に関して、行政からの地区別、種類別、日程別など受診希望者のデータを基に、「足の問題」で受診できない人は町内会長、愛育委員、民生委員などが健診会場まで送迎することにより受診率の向上を目指すことにしました。(幸いなことに「円城小学校区」では平成25年より住民主体の組織「円城安心ネット」が立ち上がっています。)
これも、御津医師会の掲げる「医療現場を守る相互扶助の精神」、すなわち住民と地域医師会が協働することにより「助け、助けられる過程で相互理解と相互信頼の人間関係が構築される。この尊敬と信頼の人間関係が生涯の財産となる。」という言葉が自然と小生の行動の根底にあるからであろうと感じている今日この頃であります。
投稿日時: 2015-01-30 17:10:34 (906 ヒット)