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2017年12月巻頭言を掲載

                巻 頭 言
 
           「ACP」・「最後まで自分らしく」
 
                      御津医師会会長 大橋 基
平成29年も師走となりました。去る11月3日第9回御津医師会学術シンポジュムを開催しました。テーマは「ACP:アドバンス・ケア・プランニング」〜もしもの時に備えて命の終わりについて話し合いを始める〜でした。岡山県在宅医療連携拠点事業で「リビングウイル」のDVDを作成して、啓もう活動を始めておりました。意思を記載したものは重要ですがそれだけでは意味をなさないことがあり、意思決定の話し合いそのものに意味があり、話し合いを続けることで状況が変化しても、その人にとって最善と思われる医療・ケアが提供される可能性が高いことが知られています。それがアドバンス・ケア・プランニング(事前ケア計画づくり)です。
終末期医療も終末期の定義そのものも難しく、人生の最終段階の医療という言い方になってきました。高齢多死社会の到来は目の前です。当たり前のことですが、残念ながら、すべての病気を治し、亡くなるという事を無くすことは出来ません。亡くなることは避けられませんが、準備をしておけば望む形での最期を迎えられる可能性は増えると思います。岡山県も啓発に向けてのテレビ番組「最後まで自分らしく」を制作いたしました。
多くの方は、抗がん剤の効果が乏しくなっても自らの予後をそれほど短いとは思っていなくて、最終段階になると自ら意思決定を行う事が難しい状況となることが多い事が知られています。これでは、本人の望む医療・ケアを提供することは難しいです。では、どうすればよいのでしょうか?自らの病状を十分理解していただけるように病状説明を丁寧に行います。その上で命に対する考え方や、治療の内容の選択、最期を迎える場所などの希望をよく聴いて話し合いながらいろいろな事を決めていきます。場合によってはそれを記録し皆で共有しておくこともよいでしょう。多くのかかわりの中でその人らしい、その人にふさわしい最期の時を迎えられると本人・ご家族の満足度が高い事も知られています。
「ACP」は聞き慣れない言葉で、それだけで難しい、良くわからないという反応が多いのですが、誰もが日々行っている行動、活動はまさにこの事なのではないかと思います。今向き合っている方は、ご自身の状況をどのように思われていて、どうありたいと思っておられるのか。関わっている方々で若干ニュアンスが異なることがあるかもしれません。分からないところは話し合えば良いのです。そして、関係する多くの職種の方々で話し合い、その方の全体像を理解し、希望に沿うようにすれば良いのです。
講演いただいた松岡保健所長の「開きながら守る」というのは結構面白い考え方だと思いました。オープンに自らを開示しながらサポーターを増やしていくことが望む最後に繋がっていくのではないかという事です。
岡山市制作の冊子もございます。今一度考えてみていただけましたら幸いです。

投稿日時: 2017-11-29 15:13:34 (895 ヒット)

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