2025年6月巻頭言
巻頭言
御津医師会理事 江原 弘貴
去る先月のゴールデンウィークの4連休、家族で信州へ行ってきました。
テント泊明けの山の空気はなんとも清々しく、日常から離れて見聞きするもの感じるものがたくさんあって、とても実り多い時間を過ごせたと思います。
一方で松本城付近など街中を中心に人出も非常に多く、高速道路では朝のうちや夕方を中心に大小さまざまな渋滞が発生していて、工夫はしたもののどうしても巻き込まれてしまいました。
ただ車が多いがための渋滞だけならさほどのことはなかったのですが、抜けるのに長くかかったのはやはり事故による交通規制で、行き帰りいずれでも長蛇の列となり行程を一部変更せざるを得ませんでした。先が見えない中での運転にはさすがにげんなりしてしまいましたが、事故現場で対応に追われる方々や憔悴した様子の当事者の方々の姿は、旅先での楽しかった思い出とともに記憶に残っています。
後に調べてみたところ、高速道路での交通事故発生件数・死亡者数は平成26年から令和2年までともに減少傾向で、それ以降は1〜2割ずつ増加傾向でした。今回目撃した事故はいずれも同じ車線内での追突事故でしたが、特に報告で取り上げられているのは中央帯で分離されていない区間での対向車線へのはみ出しと、逆走による事故でした。2023年の逆走事案は224件発生し、そのうち17%と約2割が事故に発展したそうです(逆に言えば8割は無事故で済んだということでもあります)。高速道路では速度が速い分死亡率も高くなり、4月末の事故のように複数の死傷者が出てしまう事態になることも珍しくありません。
個人的に衝撃的だったのは、逆走事案の動機のうち「故意」が25%、「認識なし」が21%という結果でした。最多38%の「過失」にはまだ工夫の仕様がありそうに思えますが、意図的または気付かないままでの逆走が半数近くに上るとなると、これは予防しようがないような気がします。英語圏では逆走した場合にのみタイヤに針が刺さるような機器が導入されており、日本でも採用してはどうかという意見があるようですが、メンテナンスや責任問題などから実現には至っていません。逆走車はキープレフトの原則からいわゆる「追い越し車線」を走ってくることが多いようで、「延々追い越し車線を走るのではなく、原則として走行車線を走るようにする」というのが現実的な対策といえそうです(とはいえ、先に渋滞が発生していることが分かるとついつい気が急いてしまうのですが…)。
結果的に多くの「初めて」と「学び直し」を経験した、思い出深い連休になりました。
投稿日時: 2025-06-05 14:51:51 (35 ヒット)