御津医師会在宅医療連携拠点事業 中野一司先生講演会
日 時:平成25年9月11日(水)19:00〜20:30
場 所:岡山済生会総合病院 西棟1階会議室
参加者 計95名
済生会病院:医師、看護師、連携室等、 他病院・医院・歯科医院:医師、看護師、
岡山県、 岡山市、 居宅介護支援事業所ケアマネ、 訪問看護師等、
御津:森脇、塚本、駒越、鳥越、深澤、難波晃、大橋、大森、利根、難波経豊、
連携室・成広、冨田、事務局・岡田
テーマ:在宅医療が日本を変える
キュアからケアへのパラダイムチェンジ
講 師:医療法人ナカノ会理事長 中野一司先生
岡山済生会病院で鹿児島の中野一司先生をお迎えして講演会を開催しました。済生会病院の職員の方に大勢参加いただきました。地域連携が進むことを期待します。
以下に講演の要約を記載します。
「在宅医療が日本を変えるーキュアからケアへのパラダイムチェンジ」ケア志向の医療=“在宅医療”という新たな医療概念の提唱
1999年9月2日に、在宅医療の専門のクリニックであるナカノ在宅医療クリニックを鹿児島市で開業して14年が経過した。開業当初は、病院で行われている(キュア志向の医療である)病院医療をそのまま在宅で展開するのが在宅医療だと考えていた。ところが、実際、在宅医療を始めてみれば、何かが違う。病院医療と在宅医療は似て非なるパラダイムの違う医療ではないかと考え始めた。
そうした中で、開業9年目の2008年に、村田久行先生の3回のセミナー(1回4.5時間×3回)を受講し、目から鱗、であった。村田理論では、“苦しみ”は、その人の?客観的状況、と?主観的な想い・願い・価値観のズレから生ずるとする(図1)。このズレを修正することが“苦しみ”をとる対人援助で、?主観的に沿う形で?客観を変える対人援助をキュア、変えられない?客観に沿う形で?主観的が変わるのを支援する対人援助をケアと定義する。キュアとは現実(客観的状況)を変えることで、ケアとは変えられない現実(客観的状況)を受け入れることを支援する対人援助である。筆者は、村田理論におけるキュア概念とケア概念(定義)を用いて、従来の“キュア志向の医療=病院医療”に対し、“ケア志向の医療=在宅医療”という
“在宅医療”の新たな医療概念を提唱している。
病院は、病気を検査し、治療するところで、基本的に治療(キュア)が実践される“場”である。これに対し、在宅(地域=病院外)では、病気は生活(ケア)の一部であって、病気があっても必ずしも検査や治療(キュア)が優先されるわけではない。病気や障害があっても、地域(在宅や施設など)の生活の場で、最期まで生活しても良いことを医療的に保証する医療が、ケア志向の在宅医療である。そして、生活の場
での医療を保証した結果が、在宅での看取りに結びつく。
だから、看取りは国の財源確保の目的(キュア)ではなく、患者の望む医療を実践した結果(ケア)が在宅での看取りに結びつくのである。そして、この事が、結果的に医療費を安くする(介護費は高くなるかもしれないが、これらが結果的に医療+介護の質が高まれば、医療費+介護費の高騰は国民に支持されるものと考える)。看取りは(財源獲得の)目的(キュア)ではなく、(患者の望む医療を実践した)結果(ケア)であることは、非常に重要な視点である。 (大橋)
中野一司先生を囲む在宅医療連携座談会
日 時:平成25年9月11日(水)21:00〜22:30
場 所:ホテルグランヴィア岡山
参加者
中野一司先生
医院:佐藤涼介、西崎進、小森栄作、安田英己
済生会病院:平松信、塩出純二、三村哲重、大澤俊哉、
岡山大学:土居弘幸、岡山県:則安俊昭、岡山市:松岡宏明、
御津:森脇、駒越、鳥越、深澤、難波晃、大橋、難波経豊、事務局・岡田
済生会病院の講演終了後、会場を移り軽食を取りながら、在宅医療についての考えや現状等を話し合った。
遅い時間にもかかわらず、いろいろな意見が飛び交った。
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