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巻頭言
御津医師会理事 鳥越 昇一郎
寒波の訪れと共に三月上旬としては真冬のような冷え込みとなりました。医療・介護etcを取り巻く環境も厳しいものがあります。
少子高齢化が以前より指摘されています。子供の数は減り、医療を多く必要とする高齢者が増えています。一方で、国の医療費は増え続けているため、政府は診療報酬を増やせない状況にあります。その結果、診療所の収入が伸びにくくなり、看護師や医療事務などのスタッフの給与を十分に上げることが難しくなり、離職につながることもあります。これからの診療所は、こうした状況の中でも地域に必要とされ続けるための工夫が必要になります。
まず大切なのは、「地域にとってなくてはならない診療所になること」です。高齢者が増える社会では、外来診療だけでなく、在宅医療(訪問診療)の需要が大きくなります。通院が難しい患者さんの家を訪問して診療することで、地域のニーズに応えながら、診療所としての役割も広がります。また、訪問看護ステーションや介護施設、ケアマネージャーと連携することで、地域の医療と介護を支える中心的な存在になることができます。
次に重要なのは、「スタッフが働き続けやすい職場づくり」です。医療スタッフが辞めてしまう理由は、給与だけではなく、仕事の負担や人間関係、働き方も関係しています。たとえば、業務の無駄を減らすために電子カルテを活用したり、仕事を分担したりすることで、スタッフの負担を軽くすることができます。また、定期的に話し合いの場を作り、意見を聞くことも大切です。「ここで働きたい」と思える職場は、結果として患者さんにも良い医療を提供できます。
三つ目は、「診療所の強みをはっきりさせること」です。すべての病気を幅広く診ることも大切ですが、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)や高齢者医療、在宅医療など、得意な分野を明確にすると地域から信頼されやすくなります。予防医療(ワクチンetc)にも力を入れることで、患者さんとの長い関係を築くことができます。
最後に、地域の医療機関との「連携」も重要です。病院と診療所における病診連携は日常的に機能していますが、地域の診療所同士で情報交換をすることも、今後ますます大切になるでしょう。
これからの時代、診療所は単に病気を診る場所ではなく、「地域の健康を支える拠点」になることが求められます。地域のニーズに合わせて役割を広げ、スタッフが働きやすい環境を作り、医療機関同士で協力することが、これからの診療所経営を安定させる大きな鍵になると考えられます。
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