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巻頭言
御津医師会会長 難波経豊
新年明けましておめでとうございます。
今年は昭和の時代が始まって100年目です。大正生まれの方が全て満100歳以上になります。当医師会も、前身の旧御津郡医師会が大正9年に設立されて既に満105歳。設立の数年後に昭和を迎えてから100年、歴史に翻弄されながら活動してきました。昭和17年には戦時の国策で、県下全ての郡市医師会とともに解散させられ、官製の岡山県医師会御津支部となりました。そして戦後の昭和22年に新たな御津郡医師会が設立されました。昭和27年には御津郡の旧芳田村、旧今村、旧大野村、旧白石村、旧牧石村が岡山市に編入され、これらの地区の先生方が御津郡医師会から転出されました。昭和46年には御津郡の旧一宮町と旧津高町が岡山市に編入され、当医師会エリアに岡山市も含むことになり、御津郡医師会から現在の御津医師会へ名称を変更しました。平成24年には公益社団法人から現在の一般社団法人に移行しました。平成27年には岡山市の高松地区と足守地区の先生方が転入され、現在の形になって10年が経ちました。
現在の当医師会エリアは、人口80,780人、高齢化率(65歳以上)37.4%、超高齢化率(75歳以上)22.5%です(岡山市:令和6年4月、吉備中央町:令和7年1月1日)。医療機関数は61機関です(令和7年12月22日)。岡山市全域での高齢化率が27.1%、超高齢化率が15.6%ですので、高齢者の多い地域になります。エリア内も地区別にみると以下の通り、人口と医療機関数は南高北低、高齢者率と超高齢者率は北高南低で、地域格差が非常に大きく、1医療機関に対する高齢者数を単純に計算すると、北部の最多地区と南部の最少地区で約3倍の格差を認めます。
☞地区別統計(人口、高齢者率、超高齢者率、医療機関数)
・中山中学区(20,838人、32.4%、19.1%、25機関)
・香和中学区(19,339人、29.7%、17.1%、10機関)
・高松中学区(17,251人、31.4%、18.2%、10機関)
・御津中学区( 8,657人、38.0%、23.1%、 4機関)
・足守中学区( 5,696人、43.3%、25.8%、 7機関)
・建部中学区( 4,980人、44.8%、28.2%、 3機関)
・旧加茂川町( 4,019人、42.4%、25.8%、 2機関)
時代の波とともに変遷を重ねてきた当医師会ですが、現在は高齢化の波に翻弄されています。社会の高齢化と同じく、会員の高齢化が進んでおり、医療機関は世代交代が進む傍ら、閉院による減少も進んでいます。在宅医療など、社会の高齢化によって新たに高まり来る医療ニーズに、十分に対応しうるためのパワーの不足が懸念されます。
また、当医師会は岡山市委託事業の在宅当番医制度に協力しており、休日の在宅当番医を内科の会員の先生方に、ローテーションで年1〜2回ほど担って頂いています。診療所の多くが休診となる休日に、診療所でも対応可能な患者が急性期病院に向かうことを抑制し、地域の急性期医療を保守する目的で行っている事業です。しかし、会員の高齢化によって在宅当番医を担って頂ける先生方も減少します。当医師会の規定として、内科を標榜する医療機関のうち、院長が80歳までは休日在宅当番医をご負担頂き、80歳になると翌年からは免除を申請できることとなっていますが、あと数年でこの年齢に達する先生方が続出します。そうなると、休日在宅当番医を担って頂く先生方が減り、負担が増加します。さらに、公立の学校医や園医の成り手も高齢化によって減り、やはり担って頂ける先生方の負担が増加します。
しかし、高齢化の流れを止めることはできないので、最近は近隣の地区医師会とともに、行政に対して事業の仕組みの改革を要望したり、議会を絡めるなど行政への効果的な要望の方法を議論したりすることが多くなりました。
さて、本年は診療報酬改定の年です。物価や人件費が高騰する昨今、病院や診療所を問わず、法的にコストを価格に転嫁できない保険医療機関の経営悪化を知ってか知らずか、財務省は勝手な理想像で「診療所の適正化」による医療費削減を貫き通そうとしています。国や国民のために命を張って不眠不休で立ち向かった新型コロナウイルス感染症の出来事を決して忘れず、国の対応をよく見張り、しっかりと声を上げるとともに、日本の医療界をまとめる日本医師会には、上手に政治を巻き込みながら、しっかりと対策を打って頂きたいと思っています。
少し明るい話も紹介しておきましょう。昨年、当医師会エリアに2軒の新規開業がありました。9月には「ふたばクリニック」(小児科/耳鼻咽喉科/アレルギー科、岡山市北区尾上)、12月には「渡辺医院尾上クリニック」(内視鏡内科/消化器内科/内科、岡山市北区尾上)が開業されました。また、本年1月には「一宮耳鼻咽喉科クリニック」(耳鼻咽喉科、岡山市北区一宮)が新規開業の予定です。当医師会に新たな仲間が加わることは、大変心強いことです。今後の地域医療への貢献を期待しています。
また、岡山市立金川病院は、現在は岡山市からの委託で国立病院機構が指定管理を行っていますが、令和8年3月がその期限であり、その後の道筋が懸案でした。紆余曲折の末、その後は岡山市の地方独立行政法人に加わることが決定し、当該地域の現在の医療体制も維持されるとのことで、少し安堵したところです。
ところで話は変わりますが、皆様は原稿執筆にAIをお使いでしょうか?ちなみにこの原稿は完全自筆です。そのため時間もかかるし、稚拙な部分があるかもしれません。時代の変化は目まぐるしく、原稿執筆までAIのようなコンピュータに取って代わられようとするなど考えてもいませんでした。確かにAIに指示すると、体裁の整った卒の無い文章を簡単に上手に作り上げますが、滲み出るAIらしさからか、AIの文章であることは比較的容易に判ります。自筆でこそ作者の意思が純粋に反映され、体裁も作者の味であり、読んで楽しく感じます。そういう意味では、作者の意思や味を必要としない取扱説明書などはAIで十分かもしれません。これも時代の波でしょうが、私は頭と指が動く限り自筆で行きたいと思っています。作文が好きだからかもしれません。作文が大嫌いだった少年時代が不思議です。
最後に本年が、会員の先生方、そして、地域住民の方にとって、平穏な一年となりますよう祈念いたします。本年も何卒宜しくお願い致します。
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