巻頭言
酷暑に思う〜徒然に〜
御津医師会理事 柴山 卓夫
時に未来を予知してしまう者がいます。48年前、高校2年の弁論大会のことです。当時、私の高校では毎年弁論大会が開催され、クラスの代表者が弁論を競ったのですが、わがクラスからはS君が自薦で参加しました。彼のテーマは「地球温暖化」で、当時すでに、「このままCO2排出が続くと、気温の上昇が起こり、人類は地球上に住めなくなるだろう」と語りました。私の高校は京都市内にあります。京都は盆地ですので、夏は暑かった記憶がありますが、ここ数年の様に40℃にもなることはなかったと思います。当時彼の話を聞いていた者は、地球がこんなに暑くなるなどと、誰も思ってもいなかったと思います。先生方ですら同じで、残念ながら彼は入賞すら叶わず、クラスの中でさえ、彼の弁論内容を話題にするものはいませんでした。事実、「地球温暖化」が世界共通の議論となったは、1985年(昭和60年)10月で、温暖化についての初めての国際会議であるフィラハ(オーストリア)会議が開催され、「21世紀前半には、地球の平均気温の上昇が人類未曾有の規模で起こり得る」との声明が出されています。どこからそのような情報を手に入れて、弁論大会に臨んだのかは不明ですが、今、高校2年の弁論大会を採点することができるのならきっと彼は優勝するのではと、当時を振り返りながら、早く涼しくなって欲しいと思うばかりです。
2025年の8月は毎日のように最高気温が更新されていました。8月31日現在、本年8月5日に群馬県伊勢崎市で観測された41.8℃が観測史上最高気温とのことです。皆さんは42℃のお風呂に何分はいっていられますか?最近は暑くて外に出られず、エアコンで冷えた家の中ばかりで過ごしています。我が家では、人間生活だけでなく、猛暑が庭の景色をも変えつつあります。「龍の髭」の名前で知られる「ジャノヒゲ」は強靭で病気になりにくく、陣地を広げてゆくのですが、3年ぐらい前から、夏には枯れ抜けて、後退するようになりました。さらに、我が家の門の両脇には「ヤマボウシ」と「ハナミズキ」があり、毎年秋には左右の美しい紅葉が自慢でしたが、ここ数年は酷暑のためか、夏に葉が枯れ落ちてしまい、秋には枯れて茶色がかった葉が残っているだけの淋しい姿となっています。
日本人の平均寿命の推移が厚生労働省から発表されており、https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/25/backdata/01-01-03-06.html
令和2年の男性81.56歳、女性87.71歳をピークとして短くなり、ここ2・3年は足踏み状態です。コロナ禍によるものと考えるのが通常かも知れませんが、それだけではない気がしています。地球環境の悪化、とりわけ、地球温暖化の影響もあろうかと愚考しています。政府がどんなに施策を打とうとも減少が止まらない生産年齢人口が支えられる高齢者人口を整えようとする神の力かも知れません?
とは言え、熱中症で倒れぬよう、皆様ご自愛下さいませ。
|