2025年7月巻頭言

投稿日時 2025-07-08 14:24:40 | カテゴリ: 20代会長 難波経豊先生

巻頭言

 

御津医師会会長 難波経豊

 

 本日、令和7年6月8日、九州北部と四国は梅雨入り、沖縄では梅雨明けし、我が県は明日頃が梅雨入りの予想です。狭そうに見える我が国も、やはり広いんだなと改めて感じさせられます。しかし、気候は既に、湿々、蒸し々々、と十分に梅雨の様相を呈し、出勤時に家内に持たされた昼飯は痛まない対策が必要で、診療中にはエアコンや扇風機が欠かせず、帰宅後のビールが待ち遠しい季節になりました。
 さて、昨日6月7日、令和7年の総会を無事に終え、御津医師会の新たな1年が始まりました。会場にご出席頂きました先生方におかれましては、大変お疲れ様でございました。また、委任状を頂いた先生方を含め、議決にご協力いただき、ありがとうございました。総会後の懇親会には、岡山県医師会の神崎副会長、岡山市内医師会連合会の滝澤理事長、吉備中央町の岡田副町長、岡山市議会の二嶋議員、西大寺医師会の宇治監事にもご参加頂き、会員同士、そして医師会の枠を超えて、盛会のうちに親睦を深めることができました。本年度も当医師会の活動に御協力いただきますよう、宜しくお願い致します。
 昨年度を振り返ると、新型コロナ感染症の感染拡大の周期的な波は依然として続いています。波は徐々に小さくはなりながらも、波の時期の入院患者数は変わっていないと聞きます。特に高齢者にとっては、いまだ命にかかわる感染症であることに変わりはありません。年末年始にはインフルエンザ患者の急増で、在宅当番医に当たっていた医療機関の先生方は本当に大変でした。その後、百日咳やマイコプラズマの感染症も例年にない勢いで拡大しました。コロナ禍のあとも、なにかと感染症に振り回される日々が続いています。令和7年4月からは帯状疱疹ワクチンが定期接種化されました。新型コロナウィルスや子宮頸がんのワクチンは目を三角にして反対する人も目立つなか、こちらのワクチンはすんなり進んでいるというのも、なんだかおかしなもんだなと感じます。勘違いや誤解により拡散される虚偽や誤情報に流されることがないようにと願うところです。医師会としては今後も感染症対策に注力していく所存です。
 当医師会では、日本医師会および県医師会とともに医師会の組織率向上に努めています。日本医師会の会員は約17万6千人(令和5年末)で、全体の入会率は50%台です。しかし、勤務医の先生方に限ってみると入会率は30%台と低い状況です。それでも会員の内訳は、開業医が約8万2千人、勤務医は約9万4千人と、半数以上が勤務医の先生です。これを見ると、医師会は既に過去のような主に開業医のための組織ではないことに気付かされます。勤務医の先生方のために医師会に何かできることがないものかと考えます。それによって勤務医の先生方の入会も促すことができるのではないかと考えます。何か良いアイデアがあれば、お寄せ頂きたいと思います。
 在宅医療については、昨年度、岡山市委託事業を利用し、診療所や病院の医師のほか訪問看護師や介護職などの多職種も一堂に会し、地域医療や在宅医療について議論する場として北部地域医療連絡協議会を立ち上げ、3回の開催を行いました。その議論の中で、高齢人口の増加に伴い、入院が必要な状況ではないが外来通院できない高齢者が増えることが予想され、その方々の医療が途切れないよう在宅医療に繋げる必要があるが、現状では各医療機関の在宅医療の機能が明らかではないので繋げにくい、との意見が出ました。そこで、各医療機関の在宅医療に係る機能をリスト化し、会員や関係者がインターネット経由で常時アクセスできるように公開しました。その他、増加が予想される在宅看取りにおける主治医のバックアップ体制の構築や、市民公開講座での住民の在宅医療の普及啓発も実施しました。本年度も北部地域医療連絡協議会の開催を引き続き行っていく予定です。また、当医師会エリアにおいて在宅での終末期医療に対する病院のバックアップ体制の一つとして、岡山中央病院と岡山大学総合診療科と協働して、岡山中央病院への岡山大学寄付講座「御津地域総合診療医学講座」の立ち上げを支援し、令和7年4月に無事立ち上がり、「老年内科」として始動しました。会員の先生方が行う在宅での終末期医療に対する病院バックアップとしての貢献が期待されます。在宅医療の推進は、今まさに医師会が取り組むべき重要な課題と考えており、引き続き進めていく所存です。
 吉備中央町では、水道水からの高濃度フッ素化合物(PFAS)の検出、いわゆる水問題に伴い、町が町民に対してPFAS血中濃度を測定することになり、その対応に追われましたが、幸い大きな混乱なく推移しています。また、デジタル田園に関連する健康関連事業の計画も、紆余曲折はあるもののどうにか前進しており、本年度も町と岡山大学と協力しながら進めていく所存です。
 昨年度も例年通り、岡山市の在宅当番医制度に協力し、休日に在宅当番医を立てました。また、岡山市および吉備中央町の学校保健に協力し、学校医、学校協力医、園医を推薦しました。また、岡山市の介護事業に協力し、介護認定審査員を推薦しています。これらを担って頂いている先生方には大変感謝します。しかし、いずれの担当においても報酬が少ないことには大変申し訳なく思っています。他の医師会とも連携しながら報酬改善の要請や協議を行っていますが、行政を動かすのはなかなか容易ではありません。今後もしぶとく求めていく所存です。また、地域の産業保健にも協力し、企業からの求めに応じて産業医を斡旋しています。産業医を担って頂いている先生方には大変感謝します。
 会員の減少と高齢化は、郊外のどの地区医師会とも同じく進んでいます。今後、医師会活動の維持や拡大のためには、他の医師会との連携の必要性が今以上に増してくると感じています。岡山市内医師会連合会、県医師会の備前ブロック、またはそれ以外も含め、様々な枠組みで、他の医師会とのさらなる連携を図っていきたいと思っています。
 物価高騰、人件費高騰、光熱費高騰、なのに、保険診療の唯一の収入であり我々が操作できない公定価格である診療報酬は上がりません。今のような完全な公定価格が果たして本当に良いのか、疑問にも思えてきます。そして早くも来年は診療報酬改定です。今度こそは診療報酬をどうにかしてもらわないと困ります。そして図らずも今年は国政選挙の年です。医師会が推す候補の当選成否や得票数で診療報酬が変わるなどとの中央の話を鵜吞みにするほど**ではありませんが、それでも一縷の望みをもってその候補の先生方を支援し、無事当選してもらいたいと思っています。逆にそれしか我々に出来ることは無いのかなと思っています。会員の先生方からもご支援のほど、ご協力頂けると幸いです。そして、我々が推すからには、候補の先生方には、当選した暁には不退転の覚悟で診療報酬の引き上げに注力して頂きたいと思います。
 以上、長々と書いてきましたが、本年度も会員の先生方と地域の住民の方々に貢献すべく、医師会活動を進めていく所存です。会員の先生方におかれましては、本年度も当医師会の活動に御協力いただきますよう、何卒宜しくお願い致します。
 






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