2022年4月 巻頭言

投稿日時 2022-04-04 14:02:45 | カテゴリ: 19代会長 中山堅吾先生

巻頭言

 

 済生会吉備病院  坪井 雅弘

 

 令和4年の冬は異常寒波による大雪とオミクロン株の感染者急増で市民生活の冷え込みが一層ひどくなった厳しい冬でした。その中で、コロナ禍にあり色々問題のあった冬季オリンピックでしたが、日本選手の活躍もあり一服の清涼剤でした。しかし、ロシアのウクライナ侵略により円安が進み、物価上昇が加速され日本経済にとり更に大変な状況になって来ています。
 テレビのニュース等を見ていましても、ウクライナ現地の人々とSNS(Social Network Service)を使い瞬時に情報交換をすることが出来、緊迫した状況をリアルタイムで知ることが出来ます。スマートフォン(以後、スマホ)1台を持っていれば、何処に居ようが世界中の情報を得ることが可能です。スマホの利用が増えて来たのは、スマホがインターネットと接続できるようになって非常に利便性が向上してからです。今ではスマホを介して様々な情報が入手出来るだけでなく、事前予約をしたり、株式の売買やネットショッピングや、仕事のツールとしても大いに利用されるようになって来ました。特に若い世代の利用者が増えスマホのない生活は考えられない若者達が増えています。また最近では、低年齢化して小学生でもスマホを持つようになっています。特にLineやTwitterやFacebookなどのSNS(social network service)とか写真や動画を通してコミニケイションを楽しむインスタグラムを利用する若者達が増えています。
 好き嫌いは別にして、私たちは便利なスマホを手放すことが出来なくなっています。そしてスマホに依存するあまり、多くの時間をスマホに費やすようになり様々な問題が起こっています。スマホやタブレットを小さな子供の時から使用することで脳の発達が障害されると云う報告もあります。実際、アップル社の創設者であるスティーブ・ジョブズ氏は自分の子供にはデジタル機器の使用を制限していたそうです。SNSやインスタグラムなどでスマホ依存になっている若者は睡眠時間を削りスマホを操作するため不眠症になり、精神的不調を来たす者が急増しているそうです。
 私は脳神経外科医なので「スマホ頭痛」の患者さんに遭遇します。スマホやタブレットのブルーライトを長時間見ることで片頭痛を誘発したり、うつむき姿勢でスマホを操作することで、ストレートネックとなり首筋や肩が凝り眼精疲労で緊張性頭痛を起こすことがあります。
 しかし悪いことばかりではありません。良いことの方がはるかに多いのです。ICTにより多様なデータを駆使して問題を解決し、より良い環境を創出することが可能なのです。すなわちDX(Digital Transformation)と云われる概念で医療、介護分野の変革も進みつつあります。日本の人口統計では2025年から64歳以下の生産年齢人口が急激に減少すると予測されています。その為、5G、ICT、IoTなどの革新技術を駆使して組織の生産性を上げる事で労働時間を短縮し人員削減も可能にして、空いた時間で医療及び介護サービスの向上を図ることが出来るようになるでしょう。しかし国の施設基準で施設の人員比率には縛りがありこれが問題ですが、折角コロナ禍でDXが社会で広まって来た今こそ生産性を上げるべく国も規制緩和などを進めてコロナ以後の成長への旗振りをして欲しいものです。






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