2019年11月巻頭言

投稿日時 2019-11-01 09:31:01 | カテゴリ: 19代会長 中山堅吾先生

 巻頭言

 
御津医師会副会長 難波経豊
 
 ふと気づけば夏の暑さはどこへやら、木々も少しずつ色付き始め、過ごしやすい季節になってきました。朝夕はむしろ肌寒く感じる今日この頃、皆さまにおかれましては、風邪など引かれておりませんでしょうか。早くもインフルエンザの局所的な流行が、ちらほらと耳に入ってきています。ウィルスに負けないようご自愛ください。
 さて、此の度の巻頭言を書くにあたり、前回はいつ書いたのだったかと振り返ってみましたら、私が平成28年5月に副会長を拝命した直後の7月でした。それから約3年、当医師会を取り巻いて様々な変化がありました。そこで、この約3年の変化を振り返ってみたいと思います。
 御津医師会は平成28年5月に大橋前会長の時代となり、平成30年5月に現在の中山会長の時代へと移りました。大橋前会長は備前ブロック代表(後述)として県医師会理事に選出されながら、引き続き当医師会理事としても我々を支えて頂いています。昨夏には水害で当医師会エリアでも医療機関ならびに住民が大きな被害を受け、自然災害への地区医師会としての対策の必要性を痛感いたしました。毎年行っている地域医療学術シンポジウムは昨年度で10回目を迎え、今後も引き続き地域住民を交えて開催予定です。報告と感謝の集いはシンポジウム懇親会と名を変えて継続しています。これに加えて昨年度からは、医療介護や行政の専門職による議論に特化した在宅医療介護連携フォーラムも始めました。合同連携デスクでは、診療所の患者紹介における病院選定の代行業務や、市内の病院関係者が情報交換を行う検証会議など、病診連携の橋渡しを継続しています。長年行ってきた夜間診療輪番制は、今年度から電話相談に特化した夜間急病電話相談として継続しています。休日当番医制度については、制度が導入された昭和半ばに比べ、今ではモータリゼーションも発達して比較的距離のある医療機関への受診も容易になったほか、休日診療を行っている医療機関が増えたこともあり、当医師会の広いエリアのなかで利用者が大幅に減少した地域もあることから、今後の制度のあり方について議論がありますが、インフルエンザ流行時など明らかな有用性もあり、現在は従来通り継続しています。
 外に目を向けますと、当医師会は、岡山市内の他の地区医師会ともに、岡山市との業務や交渉の窓口として岡山市内医師会連合会(岡医連)を構築しています。今年度からは、以前に故有って岡医連と袂を分かった岡山市医師会も岡医連の会議に同席することとなり、市内全ての地区医師会が再び一つになって行政と渡り合うスタイルが出来上がってきました。
 一方、以前から県民局の所管区域で区分される地区医師会のブロックもあり、当医師会は備前県民局の所管区域の備前ブロックに所属していますが、これまではこのブロックにあまり大きな役割がありませんでした。しかし、平成30年の県医師会の理事改選から、ブロック毎に1名ずつ代表理事を選出することとなり、にわかにブロックの意義が浮上してきました。現在の県医師会の備前ブロック代表理事には当医師会の大橋前会長が選出され、活躍されています。
 もっと外に目を向けますと、国を挙げて進められている地域包括ケアシステムの構築において、医療保険と介護保険はますます二人三脚となってきました。例えば医療保険での回復期リハビリは縮小され、介護保険のリハビリに移行しました。介護療養病床は廃止され、住まい機能に医療機能を含めた介護医療院が新たに創設されました。特に在宅医療では介護保険サービスとの協同が不可欠になっています。ただ、医療保険と同様、介護保険も、利用者負担の増加、軽度者の総合事業への移行など、財政的な観点ばかりでの行政施策に振り回されています。
 ごく最近のことを言えば、とうとう消費税が上がりました。増税分は診療報酬および介護報酬の引き上げで補填されましたが、増税が果たして社会保障に還元されるのか、見守って行かなければなりません。厚労省からの突然のリスト公開により病院統廃合も話題になっています。県南東部地域医療構想調整会議では、従来の病院に関する調整だけでなく、診療所など外来機能にも矛先が向いているようです。リフィル処方箋や医薬品フォーミュラリなど、まだまだ議論になりそうな事案が次々に出てきています。
 先日、我が家の古い手紙を整理していたら、昭和16年に当医師会の会長をしていた曾祖父が書いた、医薬品配給制を会員に通知する文書が出てきました。どの時代も同じでしょうが、いろいろと混沌とした状況が続きます。
 巨大台風が過ぎた静かな夜の医院にて雑多なことを書き並べました。最後に、昨年に水害を被った地区の医師会として、この度の台風19号で被災された東日本の医療機関および住民の方々には心からお見舞い申し上げます。
 





御津医師会にて更に多くのニュース記事をよむことができます
https://mituishikai.com

このニュース記事が掲載されているURL:
https://mituishikai.com/chairman/index.php?page=article&storyid=143