2019年2月巻頭言

投稿日時 2019-01-31 09:20:53 | カテゴリ: 19代会長 中山堅吾先生

 難 聴

 
なかむら耳鼻咽喉科 中村毅 
 
 
 耳鼻咽喉科は生後間もない赤ちゃんから高齢の方まで幅広い年齢層を対象に診療しております。今回はその中で、難聴をターゲットにお話ししようかと思います。
 子供の難聴は急性中耳炎や滲出性中耳炎など、中耳が原因で起きる疾患が多いです。この難聴は内服加療や局所麻酔でできる鼓膜切開など診療所レベルでできる手術加療で多くの場合は改善することが期待できます。内服加療にするか手術加療にするか、その判断は患者さん(多くの場合はご両親)と相談して決定します。
 これに反して大人で生じる難聴は、真珠腫性中耳炎や慢性中耳炎といった中耳が原因の疾患もあるのですが、突発性難聴やメニエール病、老人性難聴など中耳より奥にある内耳が原因で起きる疾患が多くなってきます。真珠腫性中耳炎や慢性中耳炎は時に全身麻酔での手術が必要になり、診療所レベルでは対応できず、大きな病院へ紹介しないとならないことがあります。突発性難聴やメニエール病に関しては内服加療を行います。老人性難聴に関しては、内服加療での効果が少ない方も多いです。そのような方に補聴器をご案内することがあります。補聴器を提案した時に「試してみよう!」と受け入れて下さる方と、「補聴器はちょっと・・・」とためらう方がいらっしゃります。ためらう方の多くは「知り合いが買ったけど、雑音ばかり入って効果を感じられない」、「年寄りくさく見える」、「値段が高い」などが理由の大半です。
 補聴器はうまく使えるとかなり日常生活で有効なアイテムになるのですが、うまく使えるまでに少し時間がかかります。「高い音」や「洗い物をしているときのお皿が当たった時の音」、「子どもの話し声」などが響いて気になるとか、こもり感が出るなど、使ってみて実感する症状があります。これらの症状を医師や補聴器販売店の店員と相談(このことをフィッテイングと言います)することで、ご自身にあう設定を見つけなくてはならないから時間がかかります。補聴器がどれくらいの効果が出ているかを評価する検査を行うことができる施設もあり、フィッティングの過程でこの検査を行い、より良い設定を探します。そのようにして、ご自身に合う補聴器に調整した方は長く補聴器を装用しており、素敵な生活を送っていらっしゃいます。最近では、「補聴器の使用が認知症の進行を75%遅らせることができる」といった報告もあります。補聴器を装用することで、脳に言語を入れることが有用なようです。
 世の中は核家族化が進行しており、御津医師会地区もその波は来ていますが、それでも3世代同居している方も多いようです。御津医師会では、世代を超えて楽しい会話をすることで素敵な人生を送れるような手助けを行ってまいりたいと思います。
 





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